本を読むってとても楽しいです。
物語の世界を追うことで、私は現実ではあり得ない、色々な非日常を体験することができます。
でも、この物語に出てくる世界の人々からすれば、読書というのは、娯楽として見られていないのかも知れません。
主人公も最初はその他の人と同じく、ただ、トショケンを得て、就職活動を有利にする為だけに、本を読みレビューを書きます。
そんなある日、主人公は一人の女性と出会います。彼女はこの物語中では珍しい、読書が好きな方のようです。
そんな彼女と話すうちに、主人公の読書に対する考え方に、ちょっとした変化が起こります。
そして、物語の途中。トショケンを目前にして、主人公のとった行動は……。
私は、この物語のラストがとても良い好きです。なんだか心が少しだけ暖かくなる。そんな気がします。
何気なくしている事ですが、本を読んでいる時間は、とても特別な時間なんではないのかなと、私はこの物語を読んで感じました。
どんな物語でもいいので、とりあえずレビューを書きたい。そんな方に、おすすめです。
おすすめ理由は、以下の3点です。
1、1万文字未満なので、読むための労力が少なくてすみます。
2、SFなので、改善点を見つけるのが容易です。
3、図書券のためにレビューを書きに来た方向けに、書かれています。
また、印象的な場所として、図書館が出てきます。
『たったひとつの冴えたやりかた』で、序盤に出てきた図書館を思い出しました。などなど、SFネタにつなげることが可能です。
とても、レビューを書きやすい作品だと思います。
ただ、私はこの作品を読んで、そういったレビューを書く気が無くなってしまったので、簡単な感想を書いて終わりにしたいと思います。
「初心を思い出しました。素敵な寓話、ありがとうございます」
『僕』は本を読むのが好きではなかった。だから本を嫌いになるとしても、レビューする道を選んだ。
『彼女』は本を読むのが嫌いではなかった。だから本を好きなままでいるために、レビューしない道を選んだ。
両者ともに求めるのは『トショケン』。同じトショケンを欲していても、欲する理由は対極に近い。
2人だけしかいない図書館で、僕と彼女は話をした。同じ本を読み、同じ文字を読み。
きっと同じ夢を描いた。
短編ですからあまり内容に触れるとネタバレになりそうなので、ここまでです。
どうやら自分は、いつのまにか純粋に楽しむという心を忘れていたようです。しっかりとした構成に、読者を置いてけぼりにしない描写、価値観の衝突。どれも過不足なく表現されています。
オススメできる内容ですので★3つです!!(某番組風)
明治期や昭和期とは違いIT社会となった現代、「本」というのは数あるメディアの一つに過ぎなくなりました。
『活字離れ』が指摘され始めたのも最早最近のことではありません。
そのような中で特にカクヨムという媒体に身を預ける私達は、ある程度『活字』に対する興味関心の度合いが高い方に属すると言えます。
そのような私達にとって、この作品は一度は手にとってみるべき作品だと思いました。
図書利用を制限される世界観、就職に有利という動機からトショケンを得るためにノンコレクトワード探しに精を出す主人公。
さまざまな角度から、改めて「本」というものについて考えさせられる貴重な作品です。
だからみなさんはこんなレビュー読まんでよろしい。本編を読みなさい。
「最後に審査があるんだから、そうやって数だけ打ってもダメだろ」とあなたは思うかもしれないが、しかしやらないことにははじまらないからね。
さてこの文章に関してだが、ゆるやかなディストピアを描くのはいいが、考証が甘すぎる。警報を鳴らすようなシステムがあるのに、なんでそんな抜け道があるのか。だいいちトショケンの取得ルートが複数あるのがおかしい。レビューを書いて、という正規ルートの方はまだわかる。なぜならそのルートを通ると、絶対に書物が嫌いになるように出来ているからだ。人間というものは言葉に縛られる生き物で、まして自分が発した言葉には、もう覿面に自由を奪われる生き物だからだ。良くない、不合理だ、つまらない。そう言って接したものに対して今後愛情が持てるだろうか? トショケンとはそういう理性の極致ともいうべき境地に達した人間にこそ与えられるべきもの、なのである。にもかかわらず、他のルートを用意する? そんな社会は存在し得ない。
さてしかし、そのような社会が存在し得ないとして、だとすると1つ度し難いことがある。もしもその仮定を受け入れるとするならば、このラストシーンは実現しないことになる。この垂れこめた暗雲に刺した、一筋の光みたいなラストシーンが。
このシーンの美しさを受け入れるためには前提となる社会を認めなくてはいけない。だがこんな社会は到底ありえない。そしたらラストシーンだって存在しない。
そんなの嫌だ。
え? いや違いますよ。
書籍に書かれていることをまるで本当にあったことのように執着する、なんてそんな。今時小学生だってそんなことは。習うでしょう、なんか、全体総括論とかで。
え? いや、でもそれはーーそれは嫌です。この美しさは撤回できない。そうですか。仕方ないですね。今回はトショケンは諦めることにしますよ。
……だったら好きなことを書いてもいいだろ? この作品には美がある。この暖かなラストシ(不適切な記述により以下削除)