【保存版】伝説のあーちゃん(仮名)まんこくさい事件
ブログ(大澤めぐみの落下流水で検索してね!)のほうでも一回書いたエピソードなのだけど、せっかくなのでこちらにも記しておくことにする。
わたしの地元には伝説として語り継がれている、表題の「あーちゃん(仮名)まんこくさい事件」というのがある。事件はまず、当時18歳だったネアカで下ネタもサバサバ言えちゃう系のあーちゃん(仮名)が、いつになく深刻な顔で、わたしたちに相談してきたところから始まる。
わたしたち、というのは高校からの腐れ縁で高校卒業後もなかなか卒業後の各々の場所で新たな居場所を見つけられないでいるまま、なにかにつけてはいりやんの家に集まってダラダラと漫画読んだりお菓子食べてお喋りしたりしている、わたし、ナパさん(ナパチャットワンチャイというキックボクサーに似ているらしい。要するに名倉)、えるちゃん(ペンネーム)、そしていりやんの四人人のことである。そこにあーちゃん(仮名)を加えた五人が高校の時からの仲良しグループで、そして、なにかと集まりやすい立地と雰囲気のいりやんの家にほぼ毎日、誰かがローテーションで入り浸っているのがこの頃のわたしたちの常なのだった。とはいえ、五人が勢ぞろいすることは珍しい。
「どうしたの、深刻な顔しちゃって」
わたしもナパさん(名倉)もえるちゃん(ペンネーム)も床に寝転がったりクッションに埋まったりしながら各々が漫画を読んでいて顔を上げもしなかったので、仕方なしに学習机に座ってなにか書き物をしていたいりやんが椅子をクルッと回して、あーちゃん(仮名)にそう聞いた。
自分から話を切り出したあーちゃん(仮名)は、そこでどう言ったものかを考えていたのか一拍置いて姿勢を正し、ひとつ咳払いをした後でこう言った。
「あのさ、わたしまんこが超くさいんだけど」
「は?」
突然のあーちゃん(仮名)の告白に、漫画を読んでいた三名も顔を上げて、四人分の「は?」が綺麗にユニゾンした。
「ここ数日、まんこがくさいの」
改めて、そう言いなおしたあーちゃん(仮名)に、いりやんが四名の気持ちを代弁して一言「はあ……」と述べた。ナパさん(名倉)とえるちゃん(ペンネーム)は、お互いにアイコンタクトでなにかの情報を送り合っていた。内容までは分からない。
「ねえ、ちょっと嗅いでみてくれない?」
「は!?」
「たぶんくさいと思うんだけど自分じゃ分からないから嗅いでみて」
「は!? ヤだよ! くさいんでしょ!?」
「だからくさいとは思うんだけど本当にくさいのかくさくないのかは自分じゃ分からないから嗅いでみて!」
「ヤだよ! たとえくさくなかったとしてもそんなの嗅ぎたくないよ!!」
「後生だから! 後生だから!!!!」
なんかそういう感じで、あーちゃん(仮名)といりやんがヤイヤイと派手に言い合っているところに、えるちゃん(ペンネーム)が静かに「わたし、嗅いでみてもいいよ」と言った。あーちゃん(仮名)といりやんに集まっていた視線が、同時にギュンとえるちゃん(ペンネーム)のほうに動いた。
「ほんとに? ほんとに嗅いでくれるの?」
「うん、別にいいけど」
えるちゃん(ペンネーム)は昔から、五人の中では一番おとなしいくせに妙なところで思い切りの良さがある子なのだ。まあ、それはともかく、さすがにここではナンだからってことでお風呂場の脱衣所にあーちゃん(仮)とえるちゃん(ペンネーム)がふたりで入り、残りの三人は扉を隔てた廊下に立って、固唾を飲んで事の成り行きを見守った。というか、固唾を飲む暇もなく入室数十秒でえるちゃん(ペンネーム)の「おぅええええええええ!!!!!!」という、聞いたことのないような野太い悲鳴がして、バタバタ! ガラガラーッ!! バタバタバタ!! と、えるちゃん(ペンネーム)はすごい勢いで脱衣所の引き戸を開けて玄関まで走って行き、蹲って荒い呼吸を繰り返した。
「え!? なにえるちゃん!? そんなにくさいの!?!?」
「くさい! 超くさい!!!!」
まず、えるちゃん(ペンネーム)が、そんな大きな声を出すということに一同、驚きを隠せない。普段は本当に大人しい子なんだよ。
「え!? マジでそんな? 嘘でしょ!? さすがに大げさじゃない!?」
と、脱衣所から首だけ出して、あーちゃん(仮名)本人も驚いた声を出しているのですが、えるちゃん(ペンネーム)はもはやこちらに背中を向けて、蹲って首をフルフルと横に振っていた。
しかし、そこまでリアクションをされてしまうと、やおら気になりだしてしまうのが乙女心。ああ、これが青春の光。抗いがたし怖いもの見たさ。わたしたち三人はお互いに目くばせを送り合い、まるで死体を探しに行くゴーディたちのような心持ちで脱衣所へと踏み込み、あーちゃん(仮名)のまんこの臭いを嗅いだのだった。
「おっうええええええええ!!!!!」
「くっさ!!」
「んんっ!! 超くさい!!!!!!」
「ていうかもうこの距離感であり得ない!!! あり得ないくらいくさい!!!!」
「え!? マジでそんなに!? そんなに!?!?」
そのような感じで。
とりあえず満場一致であーちゃん(仮名)のまんこはくさいという合意が取れ、客観的にまんこがくさいことを確認できてしまったあーちゃん(仮名)。これはもう病院に行くしかないということになったのだった。
さて、その後まんこがくさいあーちゃん(仮名)は思いつめた顔で婦人科に行き、問診票に「まんこくさい」と書いて診察室へ。例のオートまんぐり返し台に乗せられて御開帳なされたくさいまんこに、先生がズボッ! と手を突っ込みます!!! すると中からズルリと赤黒くて超くさい謎の巨大な物体が!!!!!!
ギャーッ! っとなったあーちゃん(仮名)、命に係わる深刻な病魔が知らぬ間にまんこの中で成長していたのかと焦りに焦った!
「先生! これはいったい!?」
「これね、タンポン」
「……は?」
「タンポン」
「タンポン……?」
「タンポン。入れたまんま忘れてたでしょ」
そう、あーちゃん(仮名)は、すでにタンポンをひとつ入れていることを自分でもすっかり忘れて、その上から(下から?)さらにもう一本タンポンを入れてしまっていたのだ。そのせいで、一本目は奥まで紐ごと入ってしまい抜けなくなって、それがいろいろ吸うだけ吸った挙句に中で腐って超絶な異臭を放っていたのだった。すでにまんこがくさいまんこがくさいと大騒ぎをしてしまったあーちゃん(仮名)、もちろん、この結果をみんなに報告しないわけにもいかない。
これが後々にまで語り継がれることとなった、伝説のあーちゃん(仮名)まんこくさい事件のあらましです。
まんこくさい事件で伝説となったあーちゃん(仮名)は、その後もしばらくは地元のメンバーで集まるたびにこの事でいじられ、成人式の二次会の席でさらに爆発的に伝説が広まり、今では地元では世代を超えて知らぬ者のない伝説のまんこくさいクイーンとなっているのだけど、まんこくさいで散々いじられまくった結果、少々のことでは動じないタフネスを身に着けたあーちゃん(仮名)、今は都内でスーツを着てバリバリ仕事をしています。
「だから、若いときには恥をかいておくものなんだよ」
というのは、あーちゃん(仮名)の言ですが、それはそれでまた納得のいかない結論ではある。
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