ちょっと急に思い出したからねぇちょっと聞いて
わたしの地元はちょう雪国だから冬は道路わきに雪がモリモリなんだけどさ。
U字溝ってあるじゃない? 道路わきの、コンクリートの、ちょっとした水が流れるやつ。田舎だから鉄のアミアミの蓋とかもついてなくて、たんにコンクリートのU字の溝が道路わきにあるんだけど、アレの上にもモコモコと雪が積もっててさ。でも、その雪のモコモコにちょっと穴が空いてるの。で、その穴から白いフサフサが出てるのね。ピヨピヨヒョコヒョコしてるの。
え? なにこれなにこれ~? って思うじゃん? で、ピャーって近づいていったら、わたしが三歩手前くらいまで近づいたところで、その穴から猫がにゃーんって飛び出してきてさ。そしたら、次から次ににゃーんにゃーんにゃーんにゃーんって猫が出てきてさ。ちっちゃい穴から次々に猫が出てくるから手品みたいなの。まずそれにビックリしちゃって。
たぶん、穴の中で猫がモリモリおしくらまんじゅうしてたのね。かまくらみたいな感じで暖をとってたっぽい。でも、中がぎゅうぎゅうすぎて最後の一匹は入りきってなくて、尻尾だけが外にピヨピヨ出ていたってわけなの。
で、穴からにゃんにゃん出てきた猫たちが揃いも揃ってビャー! って、道路向かいの物置の中に入っていくのね。屋根と壁だけの、ガレージって言ったほうが近いのかな?前面は蓋がついてないやつ。でも、ブルーシートがかけてあって、いちおう塞がれてるの。そのヒラヒラした隙間から猫がどんどん中に入っていくの。
やっぱ気になるからさ、見に行ったわけ。でね、ブルーシートをペラって開けたらね。
開けた瞬間にまっくろくろすけみたいにめっちゃたくさんの猫がブワーって逃げ出して、どこかに隠れたのか外に逃げ出したのか分からないんだけど、とりあえず最初の一瞬だけめっちゃ猫がモリモリいたのは見えたんだけど、次の瞬間には残っている猫は数匹だけだったわけ。 もう、あっという間。
猫の集会所だったんだね。わたしがペラっとブルーシートをめくったせいで解散になっちゃったっぽいけど。いや、申し訳ないことをしたよね。
でも、側近とか幹部とか四天王とか、そういう感じのやつが数匹だけ居て、そいつらは逃げないの。ブルーシートめくられた瞬間に「お、なんだテメーこらやんのか?」みたいな感じでスッと立ち上がって、身体がきれいに弓なりになってて、で、一番高いところに眼光の鋭い親分みたいなのが居るんだけど、そいつはもうね、一歩も動かないの。完全な香箱すわりのまま、ただジッとわたしのほうを見てるわけ。
やっぱ親分は貫禄があるんだね。
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