デルモンテからの~ほんとにトマト!そして極上のシンデレラストーリー!

何だこの掴みに来るタイトルはっ。
それがこの作品の第一印象でした(笑)

デルモンテ王国って、まさかトマトじゃないよね、と思わせておいてからの、トマトなんかい!と思わず突っ込まされるのは、作者の思惑通りなのか(笑)

うん、まあね、イタリアと言えばトマトだよねと納得しつつ読み進めると、大喜利でもダジャレでもなく、お話の中心にちゃんとトマトが居座っている。お見事です。何せ通貨単位がリコピンですからね(笑)そして、意外なピッツア誕生秘話が……またニヤリとさせられます。

ごちゃごちゃかきましたが、これ、大喜利小説じゃありません、ちゃんと王道のきゅんきゅん半端ない恋愛小説です。(だから、タイトルのインパクトがね……苦笑)

シンデレラという誰でも知っているお話をベースにしながら、作りこまれた設定の巧みさ、何よりキャラクター造形の素晴らしさに感動しました。勿論、アルトがピカイチにかっこいいんですけど、脇役の男性陣も霊騎士ゴローラモはじめ、宰相クレシェン、元子爵の料理人ピッツアと、個性的な面々が揃っていて退屈させません。(あ、怠惰なダル軍曹もね)

後宮で起こる妃たちの不審死事件という謎を解くべく、王宮に呼ばれるヒロインの占い師フォルテは、そこで、トマト栽培に情熱を燃やす王様のアルトと、お互いの正体を知らずに出会います。

お互いに偽った身分で出会うというロマンチックな流れに、読者はそわそわさせられます。

そうとは知らずに出会ってからだんだんお互いが気になりだす感じがもう、読んでいてきゅんきゅん来ました。そして、クライマックスのアルトのカッコ良さったら……溜息ものです(笑)

こんなに読者サービスのいいお話を読んだのは、久しぶりです。楽しいお話をありがとうございました。


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