多くの人にこの作品を読んでもらいたい。レビューとは本来そういった目的で書かれますよね。私は更にプラスして作者様への感謝の気持ちも上乗せしたいです。
プロローグでムニャムニャが出てきます。この単語が魔法の言葉で作品のあちらこちらに出てきます。このムニャムニャに当てはまる単語は何でしょうか。明確な答えがあるようで、でも上手く見つからない。そんな不思議な熱い想いがありました。
某少年漫画のテーマは「友情」「努力」「勝利」です。ボーイズダイヤリーも同じテーマは入っていますが、それだけでは終わりません。この三つのテーマは面白い作品には必要不可欠な要素だと思います。しかし、それは高度成長期の時代。つまりバブル時代に培った感覚です。時代によって流行がありますが、その事態は読者の感覚的なものが多分に作用されているはずです。
私は大正時代の傑作小説を読んでも面白いと思う事が非常に少ない残念な感性ですが、それを恥じた事は一度もありませんでした。古い文学はその時代に生きた人々が評価し感動した作品です。技術的な事や人間の原点を突き詰める作品など関心を惹く面白さはたしかにありますが私を心から感動させるものは少ないのです。
繰り返すようですが、私の生きている時代が違うのですから、その時代を生きた人達とは感性が違うのです。
話を戻すとボーイズダイヤリーに付け加える要素は「ムニャムニャ」です。ここでもムニャムニャが出てきている!
大切な単語なので読者の皆様も覚えておくと良いでしょう。読んで頂ければどれほど大切な言葉なのかわかるはずです。
ここで私の解釈したムニャムニャがなんだったかは語れません。読んで感じ取って頂ければ幸いですから。
人と人が相手を思いやり、ともに助け合っていく。
とても単純で純粋な行動を忘れたくありません。そう思わせる作品でした。
作者様。ありがとうございました。
「人類」ではなく「人」として進化するための条件。
今あるものを分かち合い、大切にすること。
みんなで支え合い、助け合うこと。
だれに対しても親切にし、感謝すること。
作者様が考える “私たちが人として必要なこれらのこと” は、残念ながらすべての人間が持ち合わせているものではありません。
けれども、もし人間が「突然変異」と「自然淘汰」という進化論の過程を経て成長したならば、皆で支え合い、分かち合い、助け合う社会ができるかもしれない。
そんな願いを込めて描かれた、貧しい少年たちが寄り添って厳しい時代を生き抜くハートウォーミングな物語が今作です。
大人に裏切られた悲しさ、貧しい生活の中で見つけていく楽しさ、心ある大人との出会い、汚れた社会に対する小さな革命、挫折と新しい目標を見つけた喜び…
母親に捨てられた5歳のレンジが大人になり、教師となって子供たちに大切なことを教えようと自分の半生を振り返る中には、たくさんの喜怒哀楽が詰まっています。
レンジたちムニャムニャな少年たちのドタバタな活劇を辿りながら、あなたも人間として本当に必要なものが何であるか、ちょっとだけ考えてみませんか。
これは、日記である。
無免許の教師、レンジという人物の日記である。
もっとも、正規の学校が存在しなくなったあとの時代のことであるから、無免許という言葉自体が正確ではないのだが。
彼がムニャムニャだったころから、現在のムニャムニャになるまで、どのようにドタバタしてきたのかが綴ってある……のだったら、ドキュメンタリーである。
そうではない。これは日記なのである。
彼の言葉で、彼が思ったことが書かれている。それが正しいとか間違っているとかいうことではない。彼がそのとき、何を感じたか、そこが重要なのである。
無免許とはいえ、彼は教師なので、多少は説教臭いかもしれない。それはそういう人物なのだと思って、大目に見てほしい。
何故なら、これは、幸せになるための秘訣を、多くの人に伝えるために書き記した愛を込めた言葉なのだから。
教師となった主人公が、自分と仲間たちの少年時代から現在までを綴る、というスタイル。
教師らしいやさしい語り口調で話は進みますが、その内容は親に捨てられたり、金の涙を流したり、大恐慌に襲われたり……と驚きの展開の連続で、あっという間に物語の世界に入り込んでしまいます。
そしてそれらを乗り越えた子供たちが、体だけでなく心も大きく強く成長していく。その姿を見届けるのがなんとも心地良いのです。
そして様々な困難を乗り越えた先にあった、「わ、こう来ましたか!」というラストはびっくりです!
ぜひ、多くの方に、この世界を体験していただきたいと思います。
主人公の口から過去の経験や個性的なキャラクターたち、そして思想が語られる中で徐々に固まっていく世界観がたまらなく魅力的なSF(そう、SFです)
どんな世界も正しいこと、綺麗ごとばかりなんてことはなくて、苦しいときも楽しいときも単純にそれだけでは理想には程遠いものだけれど、そんなこと考えるより目の前の一日一分一秒を必死に生きることのほうが子供たちにとっては大事。なぜなら状況絶望的。100m走を422回繰り返したらマラソン完走できるかのように無計画で無謀だけれど他に選択肢がない綱渡りな日々。
そんな中で生まれる僥倖と挫折とひらめきと達成と奇跡的な経験を繰り返し、仲間との結束を頼りに困難を乗り越え、子供たちは徐々に大人になっていく……のかと思いきや最後!
子供心に憧れる大人たちにいくつもの深いテーマを突き付ける、そんなお話です。是非!
舞台は近未来の日本。
世界的な大恐慌により疲弊しきった社会。人々は希望を失い、食うに食われぬ悲惨な時代に投げ出された。そんな中。ある弱き母親は、幼き子と赤子を捨てた。
捨てられた幼子である、主人公「レンジ」は、赤子の弟を連れ、ストリートチルドレンの「ケン」の下へ身を寄せ、生きるための新生活をはじめる……。
果たして、厳しすぎる社会環境の中、彼らはどう生き抜いていくのか?
そこで起きた、小さな奇跡とは?
社会の狭間で強く生き抜く、少年少女たちの闘いを描いたムニャムニャ戦記。
地力のある作者が描く、新たなストーリー。
しっかりとした『物語』を愛する人は是非に!
金の涙を流す子供たちと、肩を寄せ合って暮らす孤児たち。
物語は、元孤児であった(現在は教師)人物の語りによって進んでいきます。母親に捨てられた日から、子供たちだけで生き延びてきた日々、金(本当のゴールド!)の涙を流す子供たち。十五少年漂流記のような、少年冒険もののようであり、SF的世界観でもあり、とにかく、すごく面白いです。
また、作者の方が、とにかく読みやすさを気にかけてくれているのでしょうが、本当に読みやすいです。適度に区切りを入れてあったり、文章も難しくなく、やさしく語りかけてくれるような調子で進んでいきます。
まだ未完ですが、今現在(6話)まででも、十分面白いし、読む価値アリ!ぜひ読んでみてください。