極寒の雪球と化した地球、氷と滅びの時代に人々は生きていた

小気味よい、そして格好いい!
キサラギ氏の(いい意味で)乾いた文体が遺憾なく発揮され、スノーボールアースにおけるポストアポカリプスという題材を成立させています。

しかし、ドライなばかりではなく、キャラにも機械にもどこか愛嬌が感じられるのです。滅びの世界を生きる人々の独特な感性、たくましさ。この時代にあっても凍るまいとする人間の熱量が、文面を通して活き活きと伝わって来るのが見事ですね。

ロボ好きとしては、スキー板を履いたロボット〈スライダー〉にも注目せざるを得ません。
そう来たか…! と言いたくなってしまうくらいに明快な発想ですが、それ故に面白い。
決して現実離れした存在ではないメカがメインになっていることで、遠い未来にあり得る滅びの世界がより一層親しみやすい形で描かれているのかも知れません。

SFとしても、冒険譚としても面白い作品です。
この凍える冬にこそ、是非ご一読を!

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