こんな新撰組が読みたかった!!

私はテレビや映画で観る時代劇は好きなのですが、時代小説や歴史小説は小難しくてなかなか読むのが捗りません。
でも、この物語は違いました。
堅苦しくないのに、しっかり骨太。敷居は低いのに、志はめっぽう高い!そんなオイシイとこどりな待望の物語なのです!!

濃密な人間模様に酔いしれ、壮絶な生き様に骨の髄まで惚れ込む。そんな時代物ならではの空気が張り詰めている一方で、あの時代を生き抜いた彼らをとても身近に感じることができました。
作者様はもしかしてイタコなんじゃないか、実際に彼らを憑依させて書いているんじゃないか……!と半ば本気で考えてしまったほど、血の通った生々しい一人称で物語は進んでいきます。
読みやすいのに、それでいて心の襞が増えていくような、重みのある読み応えの連続でした。

そして最後まで読み終えた今、イタコや憑依どころではなかったと思い知らされました。
そういう一時的なものじゃなく、蘇らせた生命を丸ごと文字に宿したような、もっと永遠なるパワーを感じます。

奥歯を噛み締めながら読み進めて、読了後にどっと溢れてきた涙には、言葉にできない充実感がありました。
この作者様が描く新撰組に出会えたことが、とても嬉しいです。

どこまでも熱い誠心誠意の物語を、皆様もぜひっ!!

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