第2話 この世界について

 さて、後処理も終わったことだし、色々と纏めようか。


 まず、この世界の名は《恵の星イシリア》と呼ばれている。らしい。人族の領域にめったに近づくことがないし、人間もこの森に入ってこないから―――


「ギンさん、何やってるの?」

「ん、さっきの火事あったろ?それの被害状況の整理とか。」

「ふーん…ねぇ、遊んでよ!暇なの!」

「俺は暇じゃないんだ、アイリス。他をあたってくれ。」

「むー…」


 ――まだ子供の彼女からしか情報を得られないんだよなぁ…あ、今噓を付いたのはこんなこと書いてると悟られないようにするため。恥ずかしいからな。いつも頭に叩き込むだけだから妙に恥ずかしい。


 そんなことより、この世界はいわゆる剣と魔法のファンタジーなゲームの世界というやつで、先程も使ったが、様々な魔法が発達している。面白いことに、ステータスを見たいと念じれば自らの実力を表すステータスが見れるのだ。密かに興奮したのは言うまでもない。まあこれは後で話そう。


世界を統べているのは強大な国が3つ。平和愛するアルマリス共和国、上下関係の強いセフィロス王国、絶対王政バーネル帝国。その他にも国はあるが、規模が小さいため、あまり話題には上がらないとか。


アルマリス共和国は世界でも最大で、平和宣言―――日本でいう日本国憲法第9条9条バリアのようなもの―――をしているが、強力な冒険者を多く保有しているため、ほかの国は「この国だけは敵に回すな」と恐れられているとか。


セフィロス王国は、上下関係が強く、横暴な貴族も多く、奴隷制度もあるが、国民の大半が温和な性格で、奴隷制度も借金奴隷制度とかいうやつで、うまくやってけるらしい。


バーネル帝国はありきたりな悪の帝国である。残虐な絶対王政で、国王の気まぐれで村が一つ滅んだこともあるのだとか。しかしそんな一面は持っているものの、そうとは言い切れないらしい。というのも、することは最善とは言えないものの、最良の結果が返ってくるからだ。村を消し飛ばしたのもその村が犯罪組織の塊だったためによるものらしい。さらにはほかの国の後始末や汚れ役を買って出てくれたりしているらしく、ほかの国も一定の信頼を置いているのだとか。純粋悪がねぇ…


 人間たちは《冒険者》と呼ばれる仕事をしている者がいて、民間のあこがれの的だったり恐怖だったりするらしい。冒険者にはランクがあって、FからSSSまであるらしい。この森―――東アルマリス森林と呼ばれているらしいが―――には強力なモンスター雑魚が瀕死みたいなやつがいて並の冒険者、具体的にはB以下は入ってこないらしい。なぜアイリスは入ってきたのかと聞いてみたが、何も言わずに首を横に振るだけだった。ちょっと野暮な質問だったと後悔している。


さらにこの世界には強力な魔力だまり―――ダンジョンがあるらしい。一度入ったことがあるが、外とは比べ物にならない強さの魔物でもやっぱり雑魚がうじゃうじゃいた。


 この世界にはエルフやドワーフ、獣人テロープといった亜人もいるらしいが、驚いたのは言語だ。アイリスが話している言葉を聞くに確実に日本語である。世界共通語らしく、ほかにもエルフ語、ドワーフ語、テロープ語、古代魔術言語(もしくは古代エルフ語)などいろいろあるらしいが、それぞれイタリア語、ポルトガル語、ドイツ語、英語と地球に住んでいれば何とかなる言語しかないのである。因みに俺は世界共通語とゴブリン語としてフランス語を教えた。ボンジュールとか言ってるゴブリンの姿は非常にシュール。悪意?ねぇよそんなもん。


次に貨幣についてだ。単位はzゼベルで、貨幣は価値が低い順から銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨となる。1つ下の価値の貨幣10枚で価値が上の貨幣1枚となる。銅貨1枚1z。大金貨100万z。のちに知ることになるのだが、1億zの白金貨というものもある。ちなみに日本円との差額は1zあたり10円。まぁ、ファンタジー安定の物価だよなぁ…


そして一番重要なのが魔法!そう、魔法である!…失礼。

魔法には属性と階級があり、属性は火、水、風、氷、雷、土、光、闇、回復、補助の10種があり、さらに補助には筋力、精神、敏捷、器用、感知、知力、運の7種がある。これらは才能が必要らしいが、俺は全部あったぜ。


最後に宗教。代表的なのを挙げると、世界中で崇拝されてる聖イシリア教とバーネル教の2強なんだとか。バーネル教はご想像の通りで、聖イシリア教はキリスト教と似たようなものだった。宗教とかマジ興味ない。ゴブリン族には神道を広めた。少しだけ仏教混ぜた。反省している。


―――にしかしアイリスさんよ、これほどの量の情報をよく覚えていられるな…情報の細かさといい、もしかして国の重鎮だったりするのかね…?あ、寒気がした。

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