第4話 ゴブリンって馬鹿だから大変

さてと、この村だが、最初からこうだったわけじゃない。というか、まさに野生動物の群れって感じだった。


だから俺は5歳ぐらいのときに覚えたての魔力撃で群れのボスを殺した。なぜかって?ほかのゴブリンを服従させるためには一番簡単な方法だからさ。


ゴブリンを服従させたら、家を建て、畑を作り、住める環境を作った。それにより、多少ゴブリンの知能指数は上昇したと思う。この時並行してフランス語ゴブリン語や算学を教えた。宗教もだ。ゴブリンたちはバカでなかなか覚えず、苦戦したよ。最終的に脳みそ書き換えて終わらせた為、全部終わったのは3年後だった。

…これってスキルにならないのかねぇ?


そこから十年ほどたったある日のことだ。俺が森を測量―――地形だけでなく、鉱産資源、魔物の縄張りの範囲といった情報を元に地図を作るため―――、していた時に、森の中で人間のうめき声が聞こえた。声からしてまだおさない少女だろう。確認のため声の元へ行くと、少女が魔物に襲われているではないか!俺はとっさに魔物を魔力撃で蹴り飛ばし、少女を保護した。これまで人間の死体は散々見てきたが、生きた状態で保護できたのはこれが初だな。

「えっ…えっ…?ゴブリン…?」

困惑してるらしい。ちなみに日本語世界共通語だ。なので、

「大丈夫か?人間。危ないじゃないか…」

と問うて見た。少女はさらに困惑したが、俺がとって食ったりしない、と言うと、少女は少しずつ落ち着きを取り戻した。そして彼女、アイリスに名前を聞き、村へ招待した。アイリスは結構、いや、だいぶ驚いていたが、まあすぐ馴染んだ。アイリスにゴブリン語を、ゴブリン族に世界共通語日本語を並行して教えた。教える為のベースとなる言語があったので2年で済んだ。


アイリスはもともとある程度回復したら町へ送るつもりだったのだが、いっちょ前に恩義を感じて借りを返すと村に住み着いてくれた。


俺に情報を提供してくれたり、子供たちの世話をしてくれたり、俺の癒しになってくれたり…今じゃ立派な12歳だよ。かわいいもんだ。


それから、ダンジョンとか…いろいろあったけど、今まで大きな事件も何もなく、ここまで来た。俺が群れのボスになってから18年、ここまで持って来るのにどれほどの苦労があったか…特に最初のゴブリン語。ゼロから教えたからだいぶ手間取った。もうあんなことはしたくないよ。


っと…廊下が騒がしい。また事件か?


「ギンさん!人間だ!人間が来た!」


…来た。ついに来た。だが、取り敢えずは警戒しなければ。どんなに知恵をつけても魔物は魔物。死人が出なければいいがな…


「よし、何処にいる。俺をそこに連れてけ。」

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