第13話 楽しい楽しいお買い物の時間

 俺はしばらくして商業区とでも言えそうな場所に来た。生活用品とかを買うため。


「いらっしゃいませー…キャーッ!?」


 しくった。フードでもかぶりゃ良かった。

 なんだなんだとギャラリーができ、俺に恐怖し、ガタガタと震え出す。自分で言うのもなんだが、逃げろよ、お前ら。


 ―――なんか別な面倒事の予感がする。

「おうおうおう、そこのゴブリン!人間様の領域に何の様だァ?」


 中から出てきたのは大柄な、それこそ狂戦士バーサーカーな感じの男。話を聞く気は―――ありそうだな。


「いやぁすまない。自分が恐怖の対象なのを忘れていたよ。俺はギン。買い物に来ただけさ。襲うつもりなどない。」

 男は魔物が喋るのにさもなれたようにこう言う。

「ほう、長年冒険者やってるが、喋るゴブリンってのは初めてだ。だが、本当に襲わんのか?」


 男はそう言いつつ、収納空間に手を突っ込む。得物を出すつもりなのだろう。


「襲わんさ。なんなら今すぐマロンに話をつけてもらっても構わない。」


 お前がやるなら別だがな、と付け加えるのも忘れない。


「ハ、ハ、ハ…!そうか!認めよう!俺は狂戦士バーサーカーこと、サム=ヘイン!魔法戦士で、SSSランクの冒険者だ!」

狂戦士バーサーカーか、随分と豪勢な二つ名だな…しかし、SSSランクか。」

 俺はギャラリーを一瞥し、改めて名を名乗る。

「改めて、俺はギンだ。ランクは登録したてでFだがな。よろしく。」


 俺達は固く握手を酌み交わす。


「まさかマロンさんのことを呼び捨てにするとは思わなかった…が、それくらいの器量がなきゃ生きていけなさそうだな!―――そうだ、案内してやるよ!」

 そういやマロンは何気に元SSSランク冒険者らしいからな。他に類を見ない。




 そうして、必要な物を買い集めて、お礼がわりに二ナンダを(牛肉の如く)渡した。驚いてはいたが、喜んで受け取ってくれたよ。あ、序にマスマホも渡した。

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