第6話 奇妙な偶然って結構あるよね

 色々話した。ステータスとか、この集落の歴史(18年)とか。で、彼らのステータスはこの辺で生き残るにはステータスが低い。改めていうがここの適性ランクはBなので、具体的には最低レベル30は必要かと思ってたけど、パーティって凄いね。1人は20未満じゃん。


 装備はみんな聖銀だ。聖銀は祝福を受けた銀で、多少の魔族耐性がつくんだとか。ミスリルには劣るけど。


 因みにエイバルとリリアは兄妹らしい。仲睦まじくて結構。


 で、今はこの村の存在をどうするか話してる。


「やはり、秘密にした方が…」

「いやエイバル、俺達にとってはいいことではあるんだ。公表するのは。」

「まあ、村長がこれだしねぇ…」


 そうそう、俺のステータス見て愕然としてたよ皆。


「そういう問題じゃないんですよリリアさん…ガロンドさんはどう思います?」

「ん?俺はゴブリン共がいいなら別にいいと思うぞ?」


 あ、そういう考えなのか。なんか放任主義だな…


「俺達は社会に進出したいんだ。このチャンスを逃すわけには行かない。ただ、ギルドマスターとかの権力者に伝えてくれればいいんだ。」

「うーん…そこまで言うなら、ギルドマスターには話してみるよ。」


 良し。勝ち、か?

「じゃあそういう事で。」

「うん。」

「あ、一ついいか?」

 なんだなんだ?聞いてやろうじゃないか。


「暫くここを拠点に活動したいんだが…駄目か?」

「それぐらい問題ないさ。部屋が丁度2部屋空いてるんだ。そこを自由に使ってくれ。おーい!アイリスー、案内してやってくれー!」

「はいはーい!皆さーん、こっちですよー!」




 さて、今はその日の夜だ。俺はある疑問を解決するためにリンちゃんを呼んでる。…お、きたきた。

「えーっと…ギンさん、何か御用でしょうか…?」

「うん、まあとりあえず座ってくれ。」

「あ、はい。」


 リンちゃんを椅子に座らせ、ある疑問を投げかけた。この世界ではまずいない(らしい)黒髪黒目、前世の一部の人間に似た名前、そしてステータスにあったスキル:転移者。―――これだけなら運の上昇率が上がる6面賽が456賽になるだけのスキルなんだが―――これらから導き出される可能性は…


「リンちゃん、異世界転移って知ってる?その名の通り、こことは異なる世界へ転移することなんだけど…君はそれだね?そして、転移前は地球の日本に住んでいた…これは憶測だ。違うならそう言ってくれて構わない。もう1度聞こう。君は地球の日本に住んでいたかい?」



 しばらくの沈黙のあと、リンちゃんは口を開いた。


「そうです…たしかに、あなたの言うとおりです。地球の日本、北海道に住んでた本名立花凛。それが私です…でも何故それを?」


 ―――ビンゴ。


「何、簡単なことさ。俺はゴブリンだが、転移者とは似たもの同士転生者だから、さ。」


「えっ…そうなんですか!?」

「ああ。違いは死んだか死んで無いかだけ。ちなみに俺は超有名人。無限の頭脳、と言えばわかるかな?」


 無限の頭脳は転生前にネットで呼ばれてた俗称。国は名前呼びだったがな。


「えっ…えええええ!?むげ、無限の頭脳!?てことは…」

「落ち着けと。俺は記憶は残ってるが転生したんだからもう関係ないしな。これはただ同郷の人間がいるかどうかの確認のために過ぎない。だから今の俺はゴブリンのギン。少なくともそう接してくれると助かる。」


 …そう、俺はギン。俺の新しい人生なんだ。楽しみたい。―――伏線じゃないぞ?


「あっ…はい、やっぱり…あ、いや、何でもないです。所で…さっきから何書いてるんですか?」


 今俺は分厚い辞典のような本を書いている。と言うか作っている。クリエイト=ゴッドで知力を千倍に出来る聖典のようなものをだ。多分アーティファクト準究極の魔道具


 そのことを伝えるとまた驚いてたよ。つやつや。まぁそのうち俺も読むかも知れないけど。


 そうだ、ミスリルがだいぶ余ってたな…あれ使って装備作ってあげよう。楽しみだなぁ―――

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