第7話 東アルマリス森林調査報告

 僕、エイバル=ディンガーは、パーティー『剣の流星ソード・ミーティア』のメンバーとともにランクBの仕事『東アルマルス森林の調査』をしに来た。というのも、最近この森ではなにやら不穏な動きがあるらしい。


 結論としては、どうやらゴブリンが知恵をつけ、森の測量をしていたらしかった。


 更に集落に着いた日の夜、リンがゴブリンのボス―――ギンといったか―――が元人間で更に同じ異世界の住人であるという情報を仕入れてきたと聞いた時には驚いた。知力の聖典とかいうチートアイテムを作ってもらっていたのにはさらに驚いたが。


 読破すれば所持せずともその恩恵を受けられるようだし、空いた時間に読ませてもらうのもいいかもしれない。


 ―――あれを読破するのは相当骨が折れそうだがなぁ…


 次の日、依頼自体は解決したとはいえ、ギルド上層部には話をつけることになったので、集落の文化レベルを調べておいた。


 素晴らしいほどの文化レベルだった。畑一回収穫すれば何年かは持ちそうなほどで、さらにその食料の保存技術穀物庫も凄かった。下手な村より、いや、技術自体は王都にもないだろう。

 なにせリリア曰く倉庫内部に生命体が居ない上で扉が閉まった時に空間凍結魔法が発動するという高度な技術だからな。


 住宅だって藁の家かと思いきや石のような何かミスリルベースのコンクリート―――しかもガロンドの突進じゃヒビも入らない様な硬さ―――で出来た家、さらに内装は無駄のない、かと言ってインテリアが疎かになっているどころか趣向が凝らされた民家。ギンの家はこの集落のゴブリン全員を収容出来て、集会所や避難所として機能するのも凄い。

 そして言語が世界共通語を話せるのは素晴らしい。言葉の壁がないのは実にいい事だ。




 その夜ギンは魔力回路式スマートフォン、通称マスマホなるものを用意してくれた。

 マスマホどうしの通話、文書の作成、写実―――それも動く写実もある―――の作成と確認、娯楽など様々な機能を持った光る石版だ。


 充電が必要らしいが、1MPを込めることで

 最大までたまる上、一日は保つので問題は殆ど無い。

 たった1MPでどうやって維持しているのか聞いたところ、魔力を増強するエンチャントを沢山、具体的には合計2万倍分掛けただけとのこと。半端ない数字だが、納得出来てしまう。


 リンはマスマホの中にパズルアンドなんたらとなんたらストライクが入っていたと喜んでいた。

 僕達のにも入っていたがなんだか難しく、その日以降することは無かった。

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