第16話 尋常じゃないチート

「大臣、いい加減にしてください」

「…何ですかな、マロン様。」


大臣は落ち着きを払ったように見せかけている、今の状況、不利なのは大臣で間違いない。


「貴方、最近おかしくはありませんか?一月ほど前から怪しい行動が目立つ。ゴブリンに―――というよりは魔物に居て欲しくないことでもあるのですか?」

「…」


「まさか、偽物だと言うつもりですかな?」


「―――はい」


その言葉に剣の流星は大臣とマロンに武器を向ける。

マロンに向くのは仮にも大臣に無礼極まりない事を言った上に出し抜こうとしている可能性があるため、だろうね。


まあ俺からすれば演劇かなにかにしか見えないんだけど。


「大臣…いや、魔物B、わかってんだよ。お前が魔物であることはそのが証明してくれてんだぜ?」


一同ザワつく。オーラというのは、魔物が発する魔物の証のようなものだ。人間には見えないが、同じ魔物ならば確認することが出来る。

一応ステータスを確認してみた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ジン

男 56歳

種族 へゲン

レベル 182

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

俺はそこまで見てステータスを閉じた。それ以上は見る必要が無いからだ。

へゲン―――何にでも化ける正体の掴めない魔物。しかもSSランク。

その事を伝えると―――


「何を仰るか…私が魔物など、そのようなことがあろうはずが御座いません。」


―――どうやらあくまでも本物であると貫くつもりらしい。


「嘘じゃねーよ。ステータスでバレバレだへゲン。本物の大臣を何処にやった?」

「…本当のようですね。ステータスを見るなんて発想はなかった。ギン、ありがとうございます。」


マロンも見れたのか…とかやってると、カシャリ、といきなりシャッター音が謁見の間に響いた。


「うわっ、本当にヘゲンだ…」

「あ、魔物判別アプリか。」


俺はマスマホに魔物識別アプリを入れておいた。全てアイリス《非知力チート》情報だがな。意外と役に立ったな。

そしてそれを聞いたほか3人も行う。例外なくへゲンだった模様。


「さて、四面楚歌だが、どうする?」

「チッ…仕方あるまい。この中に私を倒せるものなどいる筈がない…全員殺して食ってやろうかぁっ…!」

「化けの皮が剥がれたなへゲン!マロン!全員逃がせ!」

「…でも、」

「安心しろ、この程度余裕だ。」

「…わかった。」

「逃がすかァッ!」


へゲンは大型のドラゴンに化け、腕を振り下ろしてくる。

不味い。仕方ないのでゴレ杖剣で防ぐ。―――が、


「何ィ!?」


防ぐつもりが切ってしまった。まだ魔力撃掛けてないぞ?


「なぜゴブリン如きが杖剣を…!」


杖剣って簡単に使えるだろ?何を驚く?―――まあ関係ない。


「なんだか知らんが、残念だったな。俺は―――知力チート持ちオーバースペックなんだよ。」


魔力撃で一刀両断する。ドラゴンは消え、本体である腐った馬のような何かの死体だけが残った。これがへゲンか。




「SSランク、へゲン討伐完了。タイムは―――計測してないや。」

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