人と獅子、2つの双眸が見つめる戦場には

 人型ロボットを自在に操ってみたい――――
 ロボを愛する者なら誰しも抱いたはずの夢、そして夢物語だからこそ追い続けてしまう希望。アーカディアンという作品は、まさにその想いを結晶化させた作品と言っても過言ではありません。

 古来より、多くのロボットアニメにおいて、ロボットは戦闘兵器という形態でこそ存在感を放って来ました(勿論、そうでない作品も少なからずありますが…)。
 だからこそ、そこには二律背反的な想いが付きまとってくるのでしょう。
 ロボットに乗りたい、しかし本当に戦いたくはない。
 戦いの中で輝くロボットには憧れるけれど、それでも人殺しをしたい訳ではない。戦いたい訳でもない。そんな板挟みの心情は、まさに本作品の主人公<アキラ>が苦しむ姿そのものです。

 いわゆるガンダム的SFロボアニメの軸で語られる<アキラ>のドラマは、しかし、『尖った一人称文体』と『操縦描写』という点において他作品とは一線を画す特異さを発揮しています。
 この作品最大の特徴を言い表すならば、やはり”真摯さ”という点に尽きると感じました。主人公の心情然り、本当に動かせるのではないかと思わせてくれる操縦描写然り、SFガジェットの扱い然り……
 ロボットが好きな方には是非勧めたい、オススメの一作です。

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