第三次世界大戦後、既に軌道エレベーターもスペースコロニーも月面都市も実現しているロボットアニメのようでありながら、ロボットだけが存在しない世界。
それこそが、今作の舞台です。
現代が過去となった舞台設定は凝りに凝ってます。現在存在する国々が合わさった四大国が鎬を削る地球。しかも、それがどこか絵空事ではないリアリティがあります。
さて、そんな世界で生きる主人公アキラはスペースコロニーに住む、ゲームが得意なことを除けば、ごく普通の少年でした。
ロボット操縦ゲームの世界大会(大会はオンライン上で開催されました)で優勝したアキラは、ある日、決勝戦で戦いあったカグヤとリアルで会うことになりました。
しかし、それは戦乱の時代の幕開けだったのです。
突如としてスペースコロニーを襲う謎のロボット。
そして、少年は黄金の運命に導かれ、黄金の獅子を胸に誇るロボット、オーラムと再会します。そう、オーラムこそが、彼のゲーム上の乗機だったのです。
何故、オーラムが実在するのか。そして、何故、スペースコロニーは襲撃を受けたのか。
胸の獅子の咆哮が示す真実とは?
人型ロボットを自在に操ってみたい――――
ロボを愛する者なら誰しも抱いたはずの夢、そして夢物語だからこそ追い続けてしまう希望。アーカディアンという作品は、まさにその想いを結晶化させた作品と言っても過言ではありません。
古来より、多くのロボットアニメにおいて、ロボットは戦闘兵器という形態でこそ存在感を放って来ました(勿論、そうでない作品も少なからずありますが…)。
だからこそ、そこには二律背反的な想いが付きまとってくるのでしょう。
ロボットに乗りたい、しかし本当に戦いたくはない。
戦いの中で輝くロボットには憧れるけれど、それでも人殺しをしたい訳ではない。戦いたい訳でもない。そんな板挟みの心情は、まさに本作品の主人公<アキラ>が苦しむ姿そのものです。
いわゆるガンダム的SFロボアニメの軸で語られる<アキラ>のドラマは、しかし、『尖った一人称文体』と『操縦描写』という点において他作品とは一線を画す特異さを発揮しています。
この作品最大の特徴を言い表すならば、やはり”真摯さ”という点に尽きると感じました。主人公の心情然り、本当に動かせるのではないかと思わせてくれる操縦描写然り、SFガジェットの扱い然り……
ロボットが好きな方には是非勧めたい、オススメの一作です。
旧Verを読んでいないですが、リブートされたとのことでこっちから入ってみました。
始まりはゲームとしてのロボットもので、今まで読んできた「ロボットもの」とは方向性が違うなぁと思いつつ読んでいましたが……
そんなことはなかった。
戦争の道具として使われるこういった流れは本当に起こりそうですよね。人型ロボットはさすがにないかもですが、ドローンとか。
個人的には1章のラブコメは好きです。僕自身運びに見習いところがありましたね。
あと、カグヤは確かにカワイイですが僕は氷威を押したい(/・ω・)/
==追記==
完結おめでとうございます。
始めはゲームの世界だった「戦争」が、現実に。ゲームでは決して再現不可能な、取り返しのつかない運命を切り抜け、そして主人公自身も昔の自分には戻れなくなって・・・それでも足掻いて足掻いて足掻ききって、二人のヒロインの幸せを掴み取ることのできた。
まさに最高のエンディングの形の一つだと思います。多少の毒はご愛敬ですが。
2年という月日を経て、最後まで書ききったこと、誇っていいと思います。本当にお疲れ様でした。
イラスト、大事にしてね。
左右の操縦桿とペダルを用いて対戦するロボットゲーム『機巧操兵アーカディアン』。そんな夢のようなゲームに魅了された少年・御門アキラの視点で物語は語られてゆきます。
彼は世界一というガチゲーマーながらも“ロボットを操縦できることを楽しむ”という生粋のエンジョイ勢でもあり、非常に感情移入しやすく好感の持てるキャラクターです。しかし、実は現実の世界でもロボットが存在し、戦争の道具として扱われてしまっていることを知り、理想とのギャップに苦しめられていくこととなってしまうのです。
いわゆる一人称視点小説として徹底された“アキラ目線”の描写は、読者を等身大の戦場へと引き込んでくれること間違いないでしょう。これは“リアル”ロボットというジャンルの1つの到達点デス……!
まだ読んでいないという方、オススメです♪