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概要
世界は終わり始めたのに、幼い私は終わる方法を知らなかった。
愛した人が残した棘。
愛された故の甘い棘。
身体の奥深くに刺さり続け、いつまでも忘れることのできない痛む棘。
いつになれば、この痛みから解放されるのだろうか。
いつになれば、忘れることを許されるのだろうか。
つつがなく、ただ、ただ、つつがなく。
そうやって真面目に生きてきた。
優しい夫と可愛い息子。
経営する事務所は順調に業績を伸ばしている。
『彼』の心に刺さる棘。
未だ、
『私』の心に刺さる棘。
彼と同じ棘なら良いのに。
そんなことを思ってしまった。
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