歴史の闇に溶けた、血と策謀にまみれた群像劇

史実に大胆な脚色を加えていながらも、人間の欲望や忠節、弱さ、狡さが全編を通して生々しく描写されていて……血肉が通った、生きた人間を感じられる作品だと思います。
淡々と事実だけを記したところにも何かどろりとした人間模様がありそうなところが、特に印象深かったです。家康の長男の自害の一方で、赤子が生まれていたりとか。黒幕説に繋がりそうな、本能寺の変直後の描写も好きです。

個人的には、やはり最後の一編が一番好きです。家康が成した数々の策謀の裏にあった、譲れない信念の吐露。そういうのがツボですね。

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