遺された旋律が導く、種族を超えた友情と冒険

 音楽×ファンタジー作品を書いているので、同業者! と喜んでやってきました。

 王道である西洋ファンタジーなRPGの世界観と展開なので馴染みやすいのですが、脚本と小説の合間のようでもある簡潔な文体が独特で、また一度に登場する人物や情報もなかなかに濃い。さらりと読むよりは一話一話、じっくりと文と場面の雰囲気を味わいながら読んでいく作品だと思います。
 とはいえ、個性的なキャラクターたちのやりとりが楽しくて、そのあたりはさくさく読んでしまいますね。街中の描写は飯テロでお腹にいいのか悪いのかですし、最後の音楽祭のシーンも描写がすごく素敵です。キャラクターの個性も曲の雰囲気も伝わってきていて、まさにクライマックス。そういう、背景の細かな描写が好きです。

 個人的には、カテナがイチオシです。無邪気な野生児+半獣人て、ツボすぎる……天使ですね、はい。パンドラ姐さんもかっこいいですが。