「影」という言葉に込められた様々な寓意、愉快犯的な「世間」、「袋小路」に追い込まれてしまった人間を救うことの難しさ。 これだけ短い文字数の中に、色々なメッセージを感じ取ってしまったのは、私がまだ「影」を無くしていないからか。それとも……。 非常に良質な短編でした。
夏に近づくということもあり、ホラーが読みたくこの作品を読ませていただきました。今までにあまり読んだことのない系統のホラーでした。影が無い女性、幽霊(と言ったらいいのでしょうか)側の視点というのはあまり見たこともなかったので、読んでて考えさせられる事もあり、楽しかったです!何より、言葉の使い方がとてもすきです。
あなたに影はありますか?影をなくし、人でなくなってしまい、それでも人の中で生きねばならなければ、そこに待つのは苦難でしかない。耐えても、やり過ごしても、いつか何かが起こってしまう日が来る。そんな世界のどこにもない、どこにでもあるような、話。
影を無くした人にして人にあらざる人々の生活を書いた掌編ホラーです。世間の残酷な目線や無自覚な暴力、そして理不尽な悪意を恐怖という形で描く実に巧妙な作品です。 何を持って恐ろしいと考えるか、そしてそれを如何に表現するか。 この作品を読んで一考してみて欲しいのです。
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