『インゴルヌカシリーズ(仮)』の短編集。短編ということもあり、本編ほど濃厚ではないが、その根幹に流れている血脈は同じ。そのため、本編を楽しめた読者ならば同じように楽しめると思う。逆に言えば、この作品を楽しめた読者は、本編の『死者、インゴルヌカにて』も楽しめるという計算。何という狡猾な作者様であろう。恐るべし。どちらから楽しむのかは読者様次第。不完全な不死の世界を堪能しましょう。貴方は偽りだとしても、誰かを生き返らせたいと願いますか?
舞台とキャラクターの格好良さはもちろんですが、それ以上に毎回テーマとなる、肉親とは何か、なぜ愛し憎むのか、そういう表現が押し出されている傑作でした。シーロンとイーシェンが好きです。