最強にして稀有な占いの能力を持ったとき、あなたならどうするか!?

二択の質問であれば、100%当てられる。そんな占いの能力がある日手に入ったら?

昼間はフリーター、夜は占い師という、どちらかというとあまり目立たない半生を送ってきた男性が、ある日突然外国人風の女性に呼ばれて、ある老婦人のもとに連れて行かれるところから、物語はスタートします。

その老婦人は、占いは占いでも、YesとNoで答えられる質問なら、確実に正解を導ける能力を持っていて、それが主人公に引き継がれ、人生は一変します。

最強な能力ですが、稀有な力は、否が応でも周りの人たちの人生を、良い意味でも悪い意味でも狂わせます。さらにこの能力には恐ろしい秘密が……。
そんな諸刃の剣を抱えながら、真摯に向き合っていく主人公の生き様。

息もつかせぬジェットコースターのような展開もあり、物語の渦に読者は巻き込まれるでしょう。

全体的に、何というのか、穏やかそうに見えて、実は裏に恐怖が潜んでいるようなおどろおどろしい雰囲気が流れていて、まるで読者も占いにすがりたくなるような闇の醸し出し方が絶妙です。
それでいて文章は非常に読みやすく、ストレスなく読める筆致も素晴らしい。
あと各章のタイトルに、占いを想起させる黄道十二星座が含まれているのも上手いですね。

最後の最後まで楽しく拝読することができました。
長編ですが長すぎず、そして物語に引き込まれ、あっという間に読んでしまいました。

めちゃめちゃおもしろいです! オススメします!

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