すべてをなげうつ勇気はあるか? YES or NO?

不運で、もしかしたら不幸ですらあるかもしれない彼は、
小林一茶という風変わりな名前の、フリーター兼占い師。
かつてその才能を見出してくれた「先生」の教えに従って、
細々とまじめに、迷える人々に占いとアドバイスを日々だった。

そんな生活がある日、一転する。
株トレードで財を築く大会社の会長である老婦人あやめから
かつて欧州の森の奥で得たという「賢者の手」を受け継ぎ、
ただの占いではない強力な未来予知の力を授かったのだ。

賢者の手の力を使うことによる代償は生易しくはない。
初めはあやめが人間らしく見えなかった、その描写にゾッとした。
代償が存在するとわかっていても、一茶は力を使えるのか。
彼は優しいのか諦めているのか、ふと見えなくなるときがある。

あやめの過去、エレインの真意、隠された家族の事情。
人がその近しい人を傷付けてしまう悲しい未来を察知して、
一茶は立ち向かうことを決断し、全霊を懸けて占う。
切なくも希望の光が見えるラストがとても印象的だった。

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