純文学から転落していく物語 涙なしには読めません

どうしてこうなってしまったんだろう?どうしてこうなってしまうのだろう?作者の慟哭が聞こえるようなコメディ中編です。
早くに両親を亡くした兄弟がお互いを支えあい…という文学的、感動的な物語になるはずが、どんどんと暴走をはじめ、アクセル全開でエンディングに突っ込んでいきます。
このあたりに作者の力量・感性・文章力がいかんなく発揮されていきます。とにかくリズムのいい文章、荒唐無稽をねじ伏せるようなストーリー、有無を言わせないキャラクター設定と、ストーリーテラーとしての作者の本領発揮です。
なぜか悲しくて笑いたくなってしまう、そんな物語です。

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