人間界における恋愛に関する学術的一考察

どこまでも理性的で打算的で利己的で排他的な恋愛モノでした。
生物が保持する恋愛感情は、突き詰めれば生物としていかに強い子孫を残せるかという生存原理に基づくものですが、それを現代に生きる人間に当て嵌めて分析すればどうなるか。
結論はある意味当たり前ではあるのですが、何かといえば夢想しがちな恋愛感情を現実的価値観として徹底的に滔々と描写し続ける本作品には、唯一無二の魅力といいますか、破壊力がありました。

構成、文章、描写、メタファーに一切の無駄がなく、丁寧に組み立てられた作品で、ああ、正にこれは理系の恋愛小説だな、と感服せざるをえない作品でした。
このどこまでも理屈の通った作品をもっと読んでみたい。次回作に期待したいです。

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