むきゅーんと鳴くクマムシさんからは想像できない殺伐とした世界
- ★★ Very Good!!
かわいいゆるキャラ「クマムシさん」の考案者としても有名なクマムシ博士が描く研究者の恋愛……さぞかしゆるくて可愛らしい物語なんだろう、と思った皆さん、ハイ残念!鬼です。これを書いたのはただのクマムシ博士ではなく、オニクマムシ博士のようです。
オニクマムシと言えば、ワムシとか他のクマムシを襲って喰う肉食系のあれです。それと同様に(?)登場人物達も肉食系です。オスはメスを獲得しようと鵜の目鷹の目、メスは少しでも条件の良いオスを選ぶべく豹変します。
なんかそういうの、「ダーウィンが来た!」とかでさんざん見てるはずなのに、何でこんなに殺伐としているように感じるのでしょう。人間同士の物語だと、もっと愛を前面に出すのが普通だからでしょうか。そういえば、タイトルにはラブとついていますが、愛より悪意の方がよく登場する話でした。
ちなみに、ところどころで挟まれる「マイナーリビジョン」「レビュアー」などのアカデミック用語にもくすっとさせられました。