ラボのボスの当たり外れによるポスドクの扱いの差といったら……

純喫茶アプライドバイオシステムズとカフェ・インビトロジェンが合併してコーヒーショップライフテクノロジーズになるも、最後はメイド喫茶サーモフィッシャーに買収される話……ではない(分かる人には分かるネタ)。

実は私もポスドクなのですが、よもやポスドク問題なんて一般の人からはろくに知られていないであろうテーマを扱った小説がこんなに人気を博するとは思いもよりませんでした。

追い出されたポスドク達が起業する過程を描いた話なので、アカデミックの世界よりもどちらかというと起業に重点が置かれていますが、それでもアカデミックのエグい部分を垣間見ることができるストーリーです。

ボスが田中前教授のような人格者か、それとも竹ノ内教授のような悪党かで分かれる天国と地獄!

それにしても、敵役の竹ノ内教授と中村助教がいい感じに嫌な感じですね。邪悪というよりは俗悪、いかにもフィクションにいそうな悪者キャラというよりは実際にいそうな嫌な奴。それだけに尚更、読んでいて「この野郎……!」と思わせられます。世の中には主役以上に人気を集める悪役とかもいますが、読者に嫌悪されてこそ悪役という考え方をするならば、実に良い悪役だと言えそうです。

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