連綿と紡がれた、千年のムスビを識る為に

カクヨム版は実のところ苦手意識が強かったのですが、購読後印象が変わりましたので記させて頂きます。ネタバレを避けつつ参りますと、二章でテッシーの「故郷に対するアンビバレンツな感情」が描かれ、三章で宮水家の持つ不思議な力に迫り、それは終幕四章への布石へと繋がります。

掲載されている一章は序の序。(もちろんレーベルがライトノベルですから仕方がありませんが)ここで苦手だなあと手を引いてしまう方は勿体無いですので、是非ご購読をお勧めします。

というのも、終盤になるにつれ描写はどんどん緻密になっていき、読み応えのある文章に変わっていく為です。特に宮水神社とかつての災害、そこを起点とした信仰の変化を紡ぐ設定の諸々については「成る程」と頷かされる部分が多々あります(感動と呼び声高い終章については、内容を伏せさせて頂きます)

テッシーがなぜ爆弾を炸裂できたのか。
俊樹がなぜあの役職に至り、そして決断を下したのか。
Another Sideを読んだ後もう一度見る「君の名は。」には、また違った「ムスビ」が垣間見えるのではないでしょうか。

こうなると他の「Another Side」も、読みたくなってしまいますねえ...

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