静謐の中に情動を感じ、寂寥の果てに微かな救いがある

 憎からず思っている相手に、女として見て貰えない寂寥。理屈では如何ともし難い情動が沸々と沸き起こるが、それらは未だ見ぬ春の如く胸底に押しとどめられている。暫く狩りはお預けかというのは、夜伽の時も間が空くのだという婉曲的な言い回しであろうが、而して末筆。恐らくはこれまで以上に関係が進展すると思しき描写が見て取れる。これによって雪解けの後に訪れる春の芽吹きのような、幾ばくかの救いを感じられる。