それでも其処に在った、綺羅星の如く物語たちへ。
- ★★★ Excellent!!!
ラスコーの壁画とて幾星霜の時を経て残り続けているというのに、終わってしまったソシャゲの記録は、塵芥すら一切残さず、露として消える。デジタルに生まれデジタルに死ぬ、陽炎めいた電子の生命、この人智を極めた21世紀の世にあって、かかる寂寥が悲嘆でなくてなんであろうか。それはまるで、文字の無い原初に立ち返るが如き口伝の世界。すなわち誰かが語らねば、在った事すらも知っては貰えない未文化の領分だ。墓標には名を、死者には哀歌を、そして物語には然るべき語り部を。このエッセイの行末に幾ばくの期待を込めて、☆3とさせて頂きます。