死線と生命線

死神と死を厭う生者の対立を描くこの物語において、読者はどちらに肩入れすればいいのかふと迷う。死神は無常に過ぎ、灰祓はあさましいと映る。

そこでヒロインが死神になり切れない存在として〈死に損ない〉という第三のポジションを得ることで読者はようやく安心を得ることができる。このあたりの経緯がとってもゾクゾクさせてくれる。

生ける屍(リビング・デッド)という言い方があるが、作中の〈死に損ない〉はそれとは違う。対極だ。意志をはく奪されたゾンビと違って、デスペラードは死に触れることにより、むしろ活き活きとした存在となっている。

物語の世界設定はどれもユニークでキャッチーでしかもカッコいい。独特の用語も冴えている。ルビの使い方も新鮮だ。

特筆すべきは、視覚的な表現だろう。描写が映像を喚起するだけでなく、文字そのものが視覚的に配慮されていて面白い。タイポグラフィックなセンスが抜群で記号としての文字の選定やレイアウトには目を見張るものがある。

まだ一部しか読み終えていないのだけれど、先がとっても楽しみです。

死中に活を求める、なんて言うけれど、まさにデッドラインがそのままライフラインであるような物語を期待!

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