ピリオド - キミと並んだ夏の夜

エンジニア㌠

プロローグ

冒頭


"that when we go out, we shall not go into a day as much greater than your day as your day is greater than my night?"


「私達が共に外へ出れば、貴方の昼が私の夜よりずっと素晴らしいように、貴方の昼ももっとよりよいものになるんじゃない?」


――ジョージ・マクドナルド『昼の少年と夜の少女』



 ピリオド - キミと並んだ夏の夜



 駅前の雑踏の中。目の前を人が足早に過ぎ去っていく。

 俺は彼女と交わした約束を果たすために、そこでじっと待っていた。


 道行く人々の中に相手を見つけようとするも、見つからずに俺は肩を落とす。

 早くあいつに会いたい――そう思うが、一人だけの時間がゆっくりと過ぎるだけで、孤独な思いがのしかかり、俺を潰そうとしてくる。


 俺は孤独を紛らわすために空を見た。

 初めて俺があいつと出会った日は、今日のように良く晴れた日だったのを覚えている。

 その日は休日で、今日以上に駅前は人でごった返していた。


 ――その出会いは必然だったのか、あるいは偶然だったのか。

 今思えば、どちらでも良かったんじゃないかと思う。


 その日、この場所で、ウチの学校の制服を着た女の子が誰か待つように佇んでいた。今の俺と同じように。

 端的に言えば、俺は目を奪われた。それぐらい彼女は綺麗だったのだ。


 しばらくして、彼女は俺が見ていることに気付いたようで目が合ってしまった。

 その時の彼女はなんだか酷く驚いたような顔をしていたけれど、その時の俺には何故驚いたのかがわからなかった。

 俺の方は目が合ってしまったことに気後れして、そそくさとその場を後にしたっけか。


 その時の俺は知るよしもなかったのだ。


 彼女が幽霊だってことを――

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