日常と非日常、平穏と異能。荒ぶる波打ち際で少年は自分を見出す。
- ★★★ Excellent!!!
子供のころ、いじめられた時『もしも超能力があったら、こいつらなんかやっつけてやるのに』、こう願ったことがあります。似たような思いをした人も少なくないのでは。
主人公白峰龍輔は学校の屋上で恐喝、暴力に見舞われ、加害者に力を揮い絶命させます。
法では裁かれることのない彼。しかしその心中は?
そして犠牲者の妹に会った時去来するものは。
異能の能力をカタルシスを得るための方便ではなく、読者にも苦い痛みを共有させるような青春現代劇。
主人公を思いやる人たち、暖かい団欒、そして別離。
読み終わった時、心が凪ぎになるような一作です。