日常と非日常、平穏と異能。荒ぶる波打ち際で少年は自分を見出す。

 子供のころ、いじめられた時『もしも超能力があったら、こいつらなんかやっつけてやるのに』、こう願ったことがあります。似たような思いをした人も少なくないのでは。
 主人公白峰龍輔は学校の屋上で恐喝、暴力に見舞われ、加害者に力を揮い絶命させます。
 法では裁かれることのない彼。しかしその心中は?
 そして犠牲者の妹に会った時去来するものは。

 異能の能力をカタルシスを得るための方便ではなく、読者にも苦い痛みを共有させるような青春現代劇。
 主人公を思いやる人たち、暖かい団欒、そして別離。

 読み終わった時、心が凪ぎになるような一作です。

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