この作品を手に取り、どうか、共にダンスを
- ★★★ Excellent!!!
読み始めて、キャラクター配置を把握して、これは恋愛が絡んでくるのかな? と。
そんな浅はかな予想を、ガリガリとエッジで削り取られていくような読後感でした。
もっとキャラクター性を高めて恋愛ジャンルで出せばいいのに、と考えてしまった自分を恥じたい。これは、紛う事なき思春期を迎えた少年のドラマである。
そう、叫びたい。
マイナースポーツ。
私事ですが。
学生の頃は、それなりに多様な部活動をしていましたし、総合スポーツ雑誌を愛読していた時期もあります。
事情や苦労や競技レベルなど、察せられる部分も読み取れて、頷くこと多く。
また、主人公の、幼さ、拙さ、経験の足りなさ。
そことリンクして、アイスダンス業界全体が抱える問題点も浮き彫りにされており。
マクロとミクロ。
おぉ……! ただの、未経験者が才能を発揮するだけのサクセスストーリーではないぞ、と最後まで読ませて頂きました。
ラストにドラマティックな盛り上がりが欠けるかな、とブレーキをかけられた思いもありますが、そこは第一部とのことで。
是非、第二部を、とお願い申し上げる次第であります。
踊る文字、ストーリーの滑走、どうか、皆様も共に、ダンスを。