吸血鬼もの。
女の子が主人公ですが、作風はライトノベルに近く、読みやすい文体で文字数ほど長く感じられない作品でした。ラブコメ的なコミカルなシーンもありつつもパニックもののような緊張感のあるシーンもあり、また後半はミステリー要素もあるという、なんとも贅沢な内容になっています。もちろん吸血鬼を扱ったファンタジー作品ですので、手に汗握る戦闘シーンもあります。読めば読むほど夢中になれる、そんな引力の強い作品でした。あと、伏線がうまいのもこの作品の魅力です。
なんとなく映画を見ているような気になれる作品です。気になる方は是非読んでみてください。面白かったです。
みなさまも仰っていますが、読み進めていくうちに、時のたつのを忘れてしまうくらいぐいぐい引き寄せられました。
超美形で超強くて超頼れる、けれどもなんだか色々な意味でかわいい若君はとても魅力的。
さらに主人公のさつきちゃんの、「共感できる普通さ」と「かっこよさ」の絶妙なバランスがたまりません。思わずさつきちゃんになりきって物語世界に入り込んでしまいました。
サブキャラも皆、奥行きがあります。
後半に行くにしたがって迫力を増していくストーリーは、もう入りこんだら抜け出せません。
読み始めたら最後、読む手を止めることは出来ません。
朝の通学通勤中の短い時間に読み始める時は、遅刻と乗り過ごしにご注意ください。
14歳のさつきの家の蔵から突然現れたのは、
凄まじく美形なんだけど、ワガママで殿様な
和製ヴァンパイアの「若君」だった!
不死身の肉体に、ズシンと心臓に響く声、
さつきの血を飲む姿はどこか色っぽくて、
電化製品を魔術と決め付けてぶっ壊して回ったりする。
ハチャメチャでコミカルなくせに
やっぱり美形な若君は憎めなくて、
サバサバしつつもかわいらしい
さつきとの主従コンビは微笑ましい。
そんな導入部をガラリと引っくり返すのは、
じわじわと明るみに出ていく、
町全体を巻き込んだ血みどろの吸血鬼騒動。
チチチ、チチチ……そのつぶやきの正体、
水無月町に伝わる凄惨な戦国時代史、
繰り返される襲撃、古い教会に隠された謎、
不良少年の悲しい願い、すべての真相と結末。
さつきと親友のマーガレットを中心に、
個性きらめく登場人物たちが活躍する、
正統派ジュヴナイルの冒険活劇。
ワクワクした。
ハラハラした。
手に汗を握って、夢中で読んだ。
本当に楽しくて面白くて、すごく好き。
長さを感じさせない、とても、とても素敵なお話でした。
前半は時代錯誤(?)な若君と、現代のごく普通(?)の少女とのちょっと変わった交流を描いており、ほっこりした雰囲気で楽しく読み進められます。
けれどもその穏やかな日々の裏で町の中には少しずつ異変が起きており…
突然訪れる急転直下の事態に、一気に緊迫感が沸き上がります。
その絶妙な展開に、読者は魔術をかけられたようにぐいぐい引き込まれてしまいます。
登場人物の個性もさることながら一人一人が物語の中でしっかりとした役割を持っており、最後までハラハラドキドキさせられました。
とても読みやすい文章で、心にすっと入ってくるようなストーリー運びなのも大きな魅力。
いつか続編が読めるといいなぁ…
決してコメディではない。どちらかと言えばシリアス……な、はず。
なのに、クスッと笑ってしまうのは、主人公さつきちゃんの語り口調の効果でしょう。
そのさつきちゃんを筆頭に、物語の中心人物である若君、可愛いのに残念な親友マーちゃん(本名はマーガレットさんです)、とぼけたおじいちゃん&おばあちゃんS、出番が多くない(?)のに特殊技能があるわけでもないのに、いいところをかっさらっていく弟、新兵衛……。個性的なキャラクターばかりです。
そのノリに油断していると、中盤以降、あっと驚く羽目になります。
今まで関係がなさそうだった人たちが、実は複雑に絡み合っていて(?)、作者の構成力に脱帽です。(詳しくは、本文へ!)
あと二章で完結だそうです。読み始めるなら今が旬です。一緒に感動のクライマックスへ突入しましょう!
女子中学生さつきの一人称で語られるのですが、読ませること読ませること! 気が付いた時には「あらっ、もう To Be Continued だわ」と、まるで吸血鬼が新しい血を求めるような渇望感にとらわれました。
現代に蘇った若君と呼ばれる吸血鬼の主君に、己の血を提供しなければならないという、なんとも数奇な運命の家系に生まれ育ったさつき。
前半はこの過程がコミカルに描かれております。
このまま展開していくのかと思いきや、どっこいそうはいかない演出が待ち受けております。これがですね、急に車線変更して読み手をふらつかせることなく、ハンドルさばきも鮮やかに、巧みな文章展開で進められていくのです。憎らしいほどウマオモシロイのです!
むしろ、ここからがこの物語の真骨頂を迎えるのではあろうと、大いなる期待感に胸がふくらみます。
並みの吸血鬼物語ではありません。なんと申しましても、こちらは若君が、お殿さまが主役を張っておられますから。