しじまの赤い闇に、不死身の牙と刀が閃く

14歳のさつきの家の蔵から突然現れたのは、
凄まじく美形なんだけど、ワガママで殿様な
和製ヴァンパイアの「若君」だった!

不死身の肉体に、ズシンと心臓に響く声、
さつきの血を飲む姿はどこか色っぽくて、
電化製品を魔術と決め付けてぶっ壊して回ったりする。

ハチャメチャでコミカルなくせに
やっぱり美形な若君は憎めなくて、
サバサバしつつもかわいらしい
さつきとの主従コンビは微笑ましい。

そんな導入部をガラリと引っくり返すのは、
じわじわと明るみに出ていく、
町全体を巻き込んだ血みどろの吸血鬼騒動。

チチチ、チチチ……そのつぶやきの正体、
水無月町に伝わる凄惨な戦国時代史、
繰り返される襲撃、古い教会に隠された謎、
不良少年の悲しい願い、すべての真相と結末。

さつきと親友のマーガレットを中心に、
個性きらめく登場人物たちが活躍する、
正統派ジュヴナイルの冒険活劇。

ワクワクした。
ハラハラした。
手に汗を握って、夢中で読んだ。
本当に楽しくて面白くて、すごく好き。

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