苦しゅうない、もそっとこちらへまいれ、と上から目線の吸血鬼ですぜ!

女子中学生さつきの一人称で語られるのですが、読ませること読ませること! 気が付いた時には「あらっ、もう To Be Continued だわ」と、まるで吸血鬼が新しい血を求めるような渇望感にとらわれました。

現代に蘇った若君と呼ばれる吸血鬼の主君に、己の血を提供しなければならないという、なんとも数奇な運命の家系に生まれ育ったさつき。
前半はこの過程がコミカルに描かれております。
このまま展開していくのかと思いきや、どっこいそうはいかない演出が待ち受けております。これがですね、急に車線変更して読み手をふらつかせることなく、ハンドルさばきも鮮やかに、巧みな文章展開で進められていくのです。憎らしいほどウマオモシロイのです!

むしろ、ここからがこの物語の真骨頂を迎えるのではあろうと、大いなる期待感に胸がふくらみます。
並みの吸血鬼物語ではありません。なんと申しましても、こちらは若君が、お殿さまが主役を張っておられますから。

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