読者の思想性を映し出す鏡のような小説

一人のスーパースターが紛争地帯の国境線で死亡したことから、誰が犯人だったのかを巡り、国際政治に影響を与えていく過程を記した作品になります。

国際政治が動くとなれば、影響を受けるのは地球の人々であり、本作品に登場する視点人物となります。

政治に直接関わる人間もいれば、武器製造に関わる人間もいて、かつて研究職を目指していたが夢破れて工員となった中年男性もいます。

他にも登場人物が複数登場するのですが、すべてをレビューで網羅してしまうと作品の面白さを損なってしまうので、視点人物たちの背景や思想に関しては自分の目で確かめてください。

視点人物たちは、誰かに少しずつ影響を受けて、かつ誰かに少しずつ影響を与えることで、塵も積もれば山となり、国家観を揺るがすほどの決定に繋がります。

しかし国家観を揺るがすほどの決定が下されてから、最後の最後でスーパースターの死の真相が描かれます。

おそらくですが、読者が持っている主張や思想によって、スーパースターが死亡した真相の受け入れ方が大きく変化します。

私の受け入れ方に関しては、秘密にさせてください。

みなさんも自分の目でスーパースターの死の真相を確かめるといいですよ。

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