うちの愛犬が王子様に転生したら、魔法も内政もこなせる超人になった

 物語の冒頭付近では、激流みたいな人生が描かれています。

 ヒロインの女性ですが、かつては現実世界で愛犬と一緒に暮らしていました。

 しかし不幸にも交通事故に遭ってしまいまして、ふと気づくと異世界の伯爵令嬢に転生していました。

 それからしばらく令嬢として生活していたのですが、婚約予定の王太子が、タチの悪い女の使う魅了の魔法に引っかかりまして、婚約を破棄されてしまいます。

 とんでもないことになったなぁと思っていたら、今度は第二王子がやってきてヒロインと婚約しようとします。

 しかも第二王子は魔法の達人ですから、あらゆる関係者を騙していた魅了の魔法を解きまして、形勢逆転となりました。

 まるでジェットコースターみたいな急展開なんですが、その秘密こそがタイトルにもなっている実は愛犬が第二王子に転生していたという流れです。

 まさか転生先で愛犬と再会できるなんてハッピーな出来事ですが、それぞれ転生した先が庶民ではないため、それ相応の苦労を背負い込むことになりました。



 ここから先の物語は、じっくり進んでいく努力と愛の日々です。

 王太子は魅了の魔法に引っかかった罰として降格となり、元愛犬の第二王子が国を継ぐ立場になってしまいました。

 つまり前世が犬なのに、権力者にふさわしいふるまいを身につけないといけないのです。

 ヒロインも前世である現実世界の流儀を一度奥に引っ込めて、いま現在の地位や立場にふさわしい発言や行動を身につけようとがんばっていきます。

 しかし二人とも、いきなりすべてのマナーを覚えられるはずもなく、失敗したり苦悩したりして、お互いを助けながら、ちょっとずつ大人になっていきます。



 そんな二人三脚の過程そのものが、この物語の魅力です。このレビューを読んだあなたも、異なる世界に順応するためにがんばる二人を応援してみませんか?

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