主人公の女性は転生先でいきなり窮地に。
婚約者の王子から婚約破棄を告げられ、周りからも冷たい視線に晒されます。
そんな主人公を救ったのは、別の第二王子。
「婚約破棄するなら、僕がもらう」
卓越した魔法使いで才知に富んだ彼は、実は主人公の元愛犬。
ずっと大事にしてもらっていた主人公を慕って奮闘しますが、当の主人公は訳あって感情が乏しくて、天然で鈍感力満天。
それでも、やさしい人たちにも囲まれて、だんだんと二人の間にはいい空気が芽生えてきて……
読後に爽やかさが残るファンタジーです。
一筋縄ではいかないけど優しい純愛物語、是非、直接見届けてみてはいかがでしょうか?
気づけば豪華絢爛な王宮の舞踏会。ロンドが彩る旋律的躍動感。華やかなドレスに身を包み、侯爵令嬢としての転生に混乱覚めやらぬ中、王太子から告げられる辛辣な言葉でこの物語は幕を開ける。主人公の茉依こと令嬢マイラ・カレンベルクは傷心するや否や、すぐに茉依を助ける第二王子フレーデリック。そして、その落差を埋めるかのような間髪入れずのザマァ炸裂。これが何とも会心の爽快感を放ち、目まぐるしい展開の中でもしっかりとその役割と章立てがなされており、その先を、その行く末を読みたいと惹きつけてやまない。
王道の異世界転生、と思いきや、まさか自分と愛犬のW転生? 予想を超えるストーリーと人物相関。うっとりする程の美しさで紡がれる背景・情景描写に、固有の脱力言葉と体幹力のない壊滅的ダンスが地味に入り混じるコミカルな持ち味。これらが織り成す絶妙なバランス感覚は、ありふれた異世界転生悪役令嬢シリーズの中でも抜群の安定感を保持し、多くの支持者を得ていると言っても過言ではない。作者様でしか出せない繊細でダイナミックな感性が生み出す優美かつユーモアあふれる世界観を、是非ご堪能ください。
派手な過去ではなく重く圧し掛かる抗いようのない過去を持つ女性の作品です!
物語は感情を殺すことで己を守り続けて来た中で、唯一心を許せる者との出会いが彼女の心に温もりを与えるが・・・という先の展開に希望を見つけたくなる導入から始まります!
さらに主人公に恨みでもあるのかな、というような流れに巻き込まれかけるのですが・・・!と、勢いのある流れはとても読み応えがありました!
そして個人的に良かったのが、ゲームや本の世界に主人公が新たなキャラとして、ではなく、既存キャラとして登場する場合、
元の人格はなかったことになっている作品が多い中で、主人公が令嬢になりました!ウキウキだ!ではなく入れ替わった末の葛藤が見事に描く流れは納得の一言でした!
そんな過去を忘れられるくらい幸せになってほしいと草葉の陰から見守りたくなる名作、みなさんもぜひ読んでみてはいかがでしょうか!
物語の冒頭付近では、激流みたいな人生が描かれています。
ヒロインの女性ですが、かつては現実世界で愛犬と一緒に暮らしていました。
しかし不幸にも交通事故に遭ってしまいまして、ふと気づくと異世界の伯爵令嬢に転生していました。
それからしばらく令嬢として生活していたのですが、婚約予定の王太子が、タチの悪い女の使う魅了の魔法に引っかかりまして、婚約を破棄されてしまいます。
とんでもないことになったなぁと思っていたら、今度は第二王子がやってきてヒロインと婚約しようとします。
しかも第二王子は魔法の達人ですから、あらゆる関係者を騙していた魅了の魔法を解きまして、形勢逆転となりました。
まるでジェットコースターみたいな急展開なんですが、その秘密こそがタイトルにもなっている実は愛犬が第二王子に転生していたという流れです。
まさか転生先で愛犬と再会できるなんてハッピーな出来事ですが、それぞれ転生した先が庶民ではないため、それ相応の苦労を背負い込むことになりました。
ここから先の物語は、じっくり進んでいく努力と愛の日々です。
王太子は魅了の魔法に引っかかった罰として降格となり、元愛犬の第二王子が国を継ぐ立場になってしまいました。
つまり前世が犬なのに、権力者にふさわしいふるまいを身につけないといけないのです。
ヒロインも前世である現実世界の流儀を一度奥に引っ込めて、いま現在の地位や立場にふさわしい発言や行動を身につけようとがんばっていきます。
しかし二人とも、いきなりすべてのマナーを覚えられるはずもなく、失敗したり苦悩したりして、お互いを助けながら、ちょっとずつ大人になっていきます。
そんな二人三脚の過程そのものが、この物語の魅力です。このレビューを読んだあなたも、異なる世界に順応するためにがんばる二人を応援してみませんか?