今作ほど更新を渇望した物語は、他にありませんぜ!

「ミックスベリー」なるチャットグループのオフ会が、とあるペンションで開催されることになる。知鶴は楽しみに出かけるが、そこで待っていたのは阿鼻叫喚の連続殺人であった。

読了し、大きなため息が出ました。これほど完成されたミステリーに出会えたことに、ほぼ毎日のように更新され続きを渇望しながら過ごした日々を思い出したことに。
クローズドサークル形式のミステリーは何作か読んだことはあります。もちろん、それらは一線で活躍されるプロの物語。
面白いのは当たり前です。
今作は、はっきり申し上げて、それらのプロ作家の描かれた物語に匹敵、いや凌駕する勢いのあるとてつもない大作です。
謎解きはもちろんメインテーマのひとつであります。連載中に頭を悩ませながら真犯人は誰か、などと推理しておりました。
しかし、今作の根底に流れるのはタグにもあります「LGBT」ではないでしょか。それと「愛」、もしくは「家族愛」。
単なる謎解きであれば、これほど余韻は残らなかったかもしれません。
作者の著書は全て完読しておりますが、どの作品にも共通していえることは、徹底的に緻密に計算された設計図に基づいて、どこにどういう伏線、どんでん返しを挿入すれば読み手が唸るのかを熟知されているところです。
登場人物は多いのですが、しっかり書き分けられており、混乱することはありません。
ミステリーマニアのかたも、そうでないかたも、今作は是非ご覧いただきたい思いで一杯です。

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