まずアクションノベルに必須である戦闘描写が彩り鮮やかで魅せられた。
アクションを期待している読者にとってきちんとニーズを満たす事ができていると言える……なんていうと大仰だが、要は読み応えがあって興奮できる戦闘シーンがしっかりと描かれていたという事だ。
そして次に世界観。
SF要素の強い設定——遺伝子操作の落胤であるエネミー。
これが実に好みで、きちんとグロテスクに仕上げているのだ。
そして文章から漂うのはドライな空気。
……たまらないですね
悪意と悪意が絡み合い人間の愚かさにまみれた世界で、主人公は生きていく——
ネタバレは避けるのでこの辺にしますが、上質なアクションノベルが楽しめる事、間違いなしだとだけ言っておきます!!!!
一筋であろう希望を守るため、過酷な運命を背負って生きる男達が、かなりかっこいいです。こういった設定のお話は本当に大好きで、彼等の気持ちに感情移入しながらラストバレットの世界を生かさせていただきました。一つ、一つの戦の、彼等の動きが目に浮かび、スピード感あります。心情も見逃せません。読ませていただいて、何より驚いたのが、アクションシーンの表現力は勿論のこと、15話という長さであるにも関わらず、次々と繰り出されていく登場人物の数々。皆が活きていて、脱帽です。
完結とはいえ、スピンオフができてもおかしくない程の内容が詰め込まれています。漫画化された時の彼等のもつ漢らしさに、更に惚れゆくこと間違いなし!です。
完結後に再訪、再レビュー(0828)
壮絶なアクションシーンに背筋がぞわっとする。今夜眠れないかもと怖がる気持ちを宥めながらも先を読みたくなるのは、戦いのシーンの奥に深い愛情が垣間見えるからだと思う。
私の中の勝手なアクションものへのイメージ「愚かな人間が互いをただ傷つけ合い命を粗末にする」は見事に覆される。それは、作者の優れた描写力と人柄から来るのだろうか。
『兄』の再生(能力発揮)に『妹』が不可欠という何気ないくだりにうるっときた。愛する人を護るために戦わなければならない悲壮な状況でも、心の中には温かい炎が描かれていたことが読後になんともいえないものをもたらしてくれる。やはり、読んでよかった。
漫画化のみならず、その後の映像化も大いに期待したい。
=====
普段アクションものは読まない。けれどあまりの好評価を目にして辿り着いた。そして、読んで本当に良かったと、いま心から思う。
もちろん、相変わらずの方向音痴ゆえ、アクションシーンは作者の優れた腕が描くままに脳内に転換できないのが非常に申し訳ないところだが、それでも、ここに描かれるアクションシーンと、合間に見せられるヒューマンドラマに、気付いたときには心を熱くさせられていた。
この先どんなことが待っているのだろうと、ドキドキと恐怖心とが襲って来るが、「絶対護る」を信じて、完結後にまた来訪したいと思う。
既に多くのレビューで漫画化&アニメ化&映画化が推奨されているが、これはもう是非ともハリウッド映画の脚本として売り込むことを目指して欲しい。夢じゃないよ、本当に、この世界観をこれからも大切にして欲しい。
富裕層の特区『オーバー』とそれ以外の区域『アンダー』に分かれた世界で、民間軍事企業の傭兵である少年の戦いの日々を描いた本作品。闇が深そうな過去・凄腕などの点から、主人公最強系の要素が見られるが、それが時々放つ軽薄な優越感とは無縁のハードボイルドな作品となっている。
一話完結型の話が多く、テンポの良さと展開の早さは非常に読みやすく、一方で奥深さも感じられる内容となっている。物語の主幹である戦闘シーンも読みやすさを重視しているのか簡潔で、コアな読者にとっては物足りないかもしれないが、多くの人が読んでいて楽しめるような文章になっている。
主人公は悪に染まってはいないが、物語全体からは少しダークな雰囲気が漂っており、その絶妙な匙加減が読んでいて心をときめかす。序盤中盤でぼかされた真実や明らかにされていない謎などが、今後どんな風に回収されるかの期待が大きい作品で、これからガンアクションを書こうとする物書きに対しては、是非一度は目を通してみると良い作品だと思う。
地の文でアクションを書く方法は2つあると読んだことがあります。
1つは映画のような状況をイメージして、それを細部まで描く手法。もう1つは登場人物の内面を描き、何を考え感じながらアクションに臨んでいるのかを描く手法だそうです。
本作は徹底して前者で、この手法で求められるのは読ませたいものと描くものの整合性を取ることが第一なのですが、この点本作は期待をはるかに超えていました。読みやすいだけでなく、作者の熱量が伝わる緻密さを感じました。
特に際立っていたのが静と動、緩と急の使いわけで、平穏無事に過ごしていた人が厄災に巻き込まれる描写はニーア・レプリカントのディレクターであるヨコオタロウ氏が好んで使うやり方なのですが、そのリスペクトは大成功の域と思います。
展開もスピーディでキャラクターも格好いい、こうした作品が漫画化するのであれば、ぜひ読んでみたいです。