メンヘラの昔語り・恋愛編

メンヘラの男性遍歴・はじめての彼氏編【1】

 はじめて彼氏ができたのは小4の時です。おませでしょ? メンヘラ予備軍って多分そんなもん。

 相手は幼馴染で、やんちゃ坊主な男の子でした。うん、幼馴染君と呼ぼう。先にあちらが好きになって、好き好き言われてたら私も好きになった。おそらくこの時には私、既に構ってちゃんだったんだと思う。

 幼馴染君は一言で言うとめっちゃいい奴です。嘘つかないし正直だし、どっしりした余裕があるし。あと、見てて楽しい変人でした。武勇伝には事欠かない人だったな。橋のある川をわざわざ入水して横切ったり池に落ちたり自転車でスライディングしたら転んで骨折したり真冬に半袖短パンで外を駆け回ったり。

 デリカシーはなかったけどね。彼女とのデートに家族を連れてきたり、家に遊びに行ったら彼のお母さんとおばあちゃんと私を残して昼寝してたり、彼女に「あの町の女の子レベル高かったなー」って言ってみたり。幼馴染君にとっても当然はじめての彼女だから、私が嫌なの、わからなかったんだと思う。


 彼とは結構長続きしたんですよ。小4から大学生までの、実に10年近く。メンヘラとしては結構びっくりです。だってメンヘラって、好きな人や彼氏がコロコロ変わるらしいじゃん。私も好きな人は結構コロコロ変わるな。構ってもらったら彼氏がいても簡単にドキドキしちゃうし。


 さて話を戻そう。中学生になる頃には、幼馴染君が私の隣にいるのが当たり前になってました。非常に純で穏やかな関係です。周りの女の子が彼氏と抱き合ったりキスしたり、その先はやったかやってないかで盛り上がる中、私たちは手を繋いですらいなかった。

 こんな感じでアツかったりときめいたりするものはないし彼にはデリカシーもないけど、めっちゃ穏やか。関係性の維持のために何かを工夫しなくても嫌われない。「幼馴染君は彼氏でさえこさんが彼女」っていうのが私にとっても彼にとっても当然で、ちょっとやそっとのことでは破局しない安心感がありました。私が金魚のフンよろしくついてきても我儘言っても、関係が続くのは当たり前。そもそも簡単にケンカしない。彼氏も私も(そもそも表向きは)滅多に怒り出さないから。彼も「巷のカップルはなんで数ヶ月で別れるんだろうねー」って言ってましたね。「燃え尽きちゃうんだよー」って答えてたな、私。結局、後で私が燃やし尽くしちゃうんだけど。

 私と幼馴染君、中学校ではなかなか有名なカップルだったんですよ。彼は友達多いし、私は成績がよかったから名前知られてたし。「2人とも真面目だしお似合い。老夫婦みたい」ってよく言われたな。


 うわあぁ昔の私、めっちゃ幸せじゃないか。懐かしいし、今と比べ始めたら複雑になるな。微笑ましい。涙出てきちゃう。そもそも冴子があんまりメンヘラしてないじゃん! すごい! 素晴らしい! 泣くわ!! つらい。というか幼馴染君、こんなネタにするようなことしてごめん。ずっと大事に思ってくれたのにごめんなさい。だけどやっぱり、申し訳ないけど文にさせてください。身元が割れることは書かないから。


 今考えたら、彼の存在が、私の中の化け物・メンヘラさえこを鎮めてたんだと思う。幼馴染君、簡単にいなくならないもの。デリカシーないし、なかなか連絡とったり会えたりしなかった(これについては後でもっと書く)けども。私がめんどくさくても、気が多くても、目立ちたがりで構ってちゃんで見栄っ張りでも。色恋が絡むと急に暴れ出す承認欲求の妖怪メンヘラさえこは、幼馴染君との関係性が封印していてくれた。たまにノソノソ起きてきて破壊行動を始めるけど、今よりはずっと荒ぶってはいなかったはず。


 だけど高校進学をきっかけにそんな、私にとっては理想に近かった関係もかげりを見せ始めます。

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