メンヘラの男性遍歴・2人目の彼氏編【1】

 インテリさんとお別れした3〜4ヶ月後、さえこは1人の男性に告白されます。大学で1つ上の学年の先輩です。この人が2人目の彼氏。長くもたず、すぐ別れるんだけど。当たり障りなく先輩君と呼びます。

 その時私は、ダイエットや大学のお勉強、読書や新聞の読み込み、ファッションの模索、メイクの練習などなどで自分磨きに励んでいました。ダイエットや服、化粧に興味をもって励んだのは、20年くらい生きててこれがはじめてです。ちなみにこのダイエット、最終的に15キロ減らせました。えっへん。

 自信がついて、前より少しだけ堂々と会話できるようになりました。前よりも男性と話す機会が多くなったし、同時期に今回の彼氏の他にも告白してきた人もいた。ザ・黄金期。

 うーん、なんでこの先、構われなくなったんだろう? 結構本気で悩んでる。もっとチヤホヤしてほしいのにー。や、心当たりはあるんだけどね。

 ちなみに同時期にもう1人、重要な男性に出会ってます。先輩君の次が彼のターンです。しばしお待ちを。


 話を戻します。

 その2人目の彼氏もまた、ずいぶん変わった人でした。いや、外面だけ見るとむしろ、今回の人の方が風変わりかも。

 まず振る舞いが目立ってました。まず、普段話さない人や知らない人と話すときでも遠慮がない。距離感がないって言った方がいいかな。それに独り言が多いし、そのボリュームがでかい。連れがいないのに一人で何か言ってたり、突然大声でハッハッハと笑い出したり。目立つことに全く躊躇がないんじゃないかなと思う。この辺は交際中、イラッとくることもあった。

 外見もインパクトが強かったです。まず身長がかなり低い。私よりも背が低い成人男性、後にも先にもはじめてです。ちなみにさえこさんの身長、150センチ台前半。あとはファッションかな? うちの大学には珍しくチェックにズボンの「元祖理系ファッション」だったし、いつも持ってるカバンがなんか特徴的だった。カバンってか、小さいスーツケースっぽいものをガラガラ引いて歩いてる。イベントの腐女子か! 独特で強烈なオーラを醸し出していました。

 こんな感じで目立つ人だったので、かなりの有名人でした。彼の学年だけじゃなくて、1つ年下の私たちの学年にも知れてました。もしかしたら学科中に顔くらいは知られてたかもしれない。

 自分でも、元彼の描写なのにずいぶん酷いなと思う。事実は事実だからしょうがない。ぶっちゃけ、私も見下してたところは多少ある。見下してたことに後ろめたい気持ちもあるけど、まだ嫌な印象も残ってます。別れてから時間たってるわけじゃないし、別れた時は私も結構怒ってた。そのことが少々後ろめたくはあるんだけど。


 先輩君ごめん。罪滅ぼしも兼ねていいところ、並べていきます。

 まず、目立つ分知り合いは多かったし、友達も結構いました。彼の周りには、キャラの濃いコミュニティーが築かれていた。本音と建て前を使い分ける人じゃなかったし、親友もいたと思う。

 それに、開けっぴろげすぎだけど素直だし嘘はつかないし、裏表がありませんでした。イライラすることもあったけど、一緒に行動すること自体は楽だった。何考えてるかが、鈍い私でもすぐ分かるもの。それにテンション合ってるし。私は1人で笑い出さないだけで、友達と一緒の時に、ハイテンションでギャーギャー騒ぐノリは一緒でした。


 彼とのおつきあいは私にとって、またまたびっくりするものでした。

 まず先輩君はつきあう前から私にメロメロだった。これは、幼馴染君にはなかったことですね。私がはじめての彼女だったらしい。ラインで毎日のように「好き!」と送ってきてたし、さえこさんを賛美する詩や自作の小説をメールで送ってきたこともあった。詩を貰ったことは前にもあったけど、小説の時はびっくりしたし、セクシーなシーンも導入だけだけどあったので、今思うと、正直、まあ、うん。気持ち悪くはある。うん。

 人前でも包み隠さず「さえこさん素晴らしい! 大好き! 愛してる! ウオー!」って感じで言ってたなあ。恥ずかしいけど、構ってちゃんで人恋しいメンヘラさえこからすれば嬉しくもあった。少なくとも最初は。ストレートな表現じゃないと安心して好意を受け取れないんです。私を好きなんて、勘違いかもしれないじゃですか。その割にはただの知り合い相手に、自意識過剰に「私のこと好きなんだ!」と勘違いすることもあるんだけど……救いようがないですね。仕方ないです。そうでもしないと足りないんだもの。好意が。


 今だからひどい書き方してますが、最初はそんなアツい表現方法も好意的に見てました。私でも、このくらい愛されることがあるんだーと体感することができた。そこは本当にびっくりしたし勉強になりました。ありがとう先輩君。

 だけど、どうしようもないメンヘラを全身全霊で愛した先輩君を(大げさな態度に苛立っていたにしても)、私はまたひどい理由で切り捨てることになります。続く。

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