星と狼の異類婚姻譚

草原と風、遊牧民、夜と夢、狼の異類婚姻譚。これらの言葉に惹かれる方に、ぜひとも読んで欲しい物語です。

ハワルをとりまく環境から、シンデレラを想起する方も多いのではないでしょうか。冷遇する母親、懸命で献身的な少女、そして結婚の話。御伽話と違うのは、その結婚の相手がどうやら彼女を幸せにするような相手ではない、と読み進めて行く中で不安に思う所……。
どうなるのか、とドキドキしながら読んでいくうち、出会うのが「狼の王」です。夢での逢瀬と約束は、暗い夜空にさっと風が吹くようでした。眩い、というよりは、手の中の灯りのようにじわりと温かく、希望を感じる。

物語の幕の向こう。ハワルと「狼の王」が寄り添い、いつまでもいつまでも幸せに暮らしてくれましたように、と。それを信じる気持ちで、いつもほっと読み終わる物語です。

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