気持ちごと差し出す言葉として、これ以上ない告白の言葉から物語がはじまります。
「あなたの心臓をください」
リアルに考えてしまえばすこしグロテスクでもあるこの言葉に、それこそ胸の奥まで締め付けられるような気持ちを覚えたのは、もう何年も前のことでした。
カクヨムでの再掲載(加筆修正などされたとも聞きました) おめでとうございます&ありがとうございます。
このお話に巡り合って、一番最初に読み終わった時に考えたのは、「こころ」や「きもち」が宿る場所はどこなのだろう、ということでした。
このお話に関して述べれば、それは紛れもなく「心臓」であるのだと思います。命を巡らせる場所。温かな熱で鼓動を刻む臓器。生きて行く上で、なくてはならないもの。そこに、恋という思いが集約していくのだと、して。
なんてロマンチックで情熱的で、純粋で、怖ささえ感じる言葉なのかな、と思います。だからこそ、まさしく「恋の御伽話」であるのだな、とも。
私がそうであったように、誰かの心臓にまで、またまっすぐに宿る物語になりますように。