私のまぶたに背信を咲かせて

作者 篠崎琴子

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★★★ Excellent!!!

「わたし」は育てていたさくらに請われてその子を身ごもる。冬のはじめ、その子を出産し、さくらは子供に名前をつけ……。

うっとりしてしまうほど美しく澄んだ文章で書かれた、幻想的な物語です。
静謐な少女の語り口のなかで語られるのは、彼女の一族と人ならぬものとの因果、彼女自身とさくらの関係、逃れられない運命。おどろおどろしささえ感じられます。

非常に美しく、儚く、けれど情念に満ちた物語を堪能させていただきました。
そういった物語をお望みの方にはおすすめしたいと存じます。

★★★ Excellent!!!

 作者さまの作品、いつもうっとりと拝見させて頂いています。今回あらためて読み返したくなり、こちらのお話を開きました。
 文章そのものは抑制された落ち着きとしずけさ、そして花びらのようなたおやかさに満ちているのに、その裏にひそむ恋は苛烈。淡いヴェールの陰からちらりとほの見えるこのあざやかさに、ぐっと心惹かれます。
 「ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ」。個人的に、この歌がぴったりだなあ、と感じられる、たいへんうるわしいお話でした。

★★★ Excellent!!!

 とうめいな言葉で綴られる物語。恋、というものの。あるいは、そういった言葉で呼ばれる気持ちの、なにかの。
 うつくしい、という言葉では届かないほどの。激しい雨が降った次の日の朝の、しんと静まり返った空気の、濾されきった言葉で紡がれていく物語。
 息を止めるような、それでいて、息を吸うような。

 とてもとても、好きなお話です。