世界観の構築、雰囲気作りが見事だと思いました!
過剰ともいる専門用語やルビが本作においては効果的に作用しており、それらによってこの限られた文字数で世界の奥行きが描き出されたのではないかと思います!
この辺りは、「魔改稿」の成果がいかんなく発揮されていると思います!
本作だけでも完結した物語と楽しめる一方で、この先も読みたいと思わせるのは、漫画原作……引いてはエンターテインメント作品には重要な要素だと思います!
そして何より、アメリアが良い!
ダークファンタジーの世界に差し込む一条の光といいますか、清涼剤といいますか。
アメリアの存在が、本作を万人に勧められる作品にしているように思いました!
魔女の設定、細かい描写の一つ一つにもこだわりを感じました。伏線が物語の後半の真相に効いています。ルビ振りの一つを取ってもよく練られています。
西部と魔女という異色な取り合わせも自然と頭の中で描かれています。始めての世界観なのに馴染んでいる感じです。ただ呪いの発動が想像出来ませんでした。呪いは実際に何を引き起こしていたのかいまいち読み取れません。
もう一つ気になったのは若いとはいえ呪書殺しと言われているにしては弱い事。気をゆるしてという設定にしても弱すぎるのがせっかくの主人公のムードを壊している様に感じました。そこが未熟者とカラスに言われる所以ですね。カラスの保護者感がUPする為でしょうか。
今後の三人の物語はあるのでしょうか? いいチームになりそうですね。
読ませるパワーは、半端ないです。
いや、無理矢理こちらの口元をこじ開けて力任せに押し込んでくる、という意味ではありません。
読み進めるのがツライなら、「はい、さいならー」とクリックひとつで閉じればよいのですから。
読ませる、と表現いたしましたが、読んでしまう、引き込まれてしまうと言い換えたほうが良いですね。
ファンタジー系統はほとんど読まないため、使われる文言や言い回しなどにストレスを感じるかなと思っておりました。
それがあなた、ズブのシロートにも関わらず、私の愚鈍な脳みそが「これは多分、こういう意味合いなのかもー」とエヘヘ笑いしながら瞬時に解釈していってくれたのです。
結果、面白いじゃあないですか! との結論にたどりついたのです。
スピード感溢れる物語ですが、もちろん単純なストーリーでは終わりません。敷かれていた伏線が回収された時の驚き、溜飲が下がるなんてものではありません。
「かーっ、こうきましたか!」と唸りましたもの。
活劇として(タイトルに偽りなし)、十二分に楽しませてくれます!
くやしいからいきなりネタバレから入るんですが、プロローグにきっちりオチが書いてあるのに、結局エピローグまで読んで気づくという、てめえの頭の悪さを再認識させられた作品でございました。
悔しい!! 悔しいィイッ!!
魔女の力で生かされても――という台詞が持つ重み。
そして、数限りない悪意ある魔導書を編んできた魔女ファウラが、息子に残した『遺言書』が、いったいなんであるかという謎。
紐解いていけば、それは二人の親子の愛の話に帰着するのですが、いやはやその物語の構成がなんとも巧み。
いっさいの無駄なく物語を収束させるその手腕にはほれぼれとしますね。
あまりに見事なものだから、あぁ、これ、こういう皮肉なのね、と、もう一度プロローグを見返しましたよ。
改めて読者に見返させる小説というのは、なかなか書こうと思って書けるものではないと思います。
素晴らしい。
で、素晴らしいのは話だけではないんですよ。
世界観。それこそ、よし、読者アンケートの結果が良好だし、連載行こうか、って編集者に言わせるような抜群の完成度。
いや、私、編集者じゃないので知りませんけど。
ただ、少年誌のヒット作の読みきり版くらいの重厚さがある。
あぁこれ連載しないかな、って、子供ながらに思ったあのワクワク感を確かにこの作品の中から感じる。
西部劇で魔女を狩るというテーマもさることながら、その動機付け、小道具の魔導書、そして魔女のバリエーションと、どれもこれも読者の興味をそそるものばかり。
悪趣味な魔導書の描写も抜群。
この手のダークな演出は私の世代だとハガレンがまさしくそうですが、こりゃ中高生とかキャーキャーいいそうだわ。
という感じのザ・少年漫画。
連載するんだったらこいつでいいんじゃないの少年エースさん、と、アンケート代わりにレビューを書いた次第であります。
オススメです。
あらすじを読んだだけで、これはしっかり世界観が構築されているな、と想像がつきます。そして何らためらうことなく本編へGO。
“糧を食わねば魔女は死ぬ”。まるで血を吸わねば死ぬ吸血鬼みたいだな――というのは置いといて、この世界の魔女、及び関連する事柄の在り様がかなり斬新で、興趣が尽きません。
老若男女問わず魔女、代替臓器、術書(グリモア)、血病、魔女法などなど――。
しかし主人公がかっこいいですね。キャッチコピーにもありますが、ウエスタンハットを被る少年の魔女ですから。しかも“死呪の武具”なるカックイイ名前の皮籠手なんかも付いていて、漫画化したら映えるだろうな、と嫉妬すら覚えます(^-^;
西部劇と魔女の融合。新しすぎる世界観に酔いしれろっ!
ということで、皆さまも是非、ご一読を(⌒∇⌒)