偉大なる魔女が残した呪いと愛

 くやしいからいきなりネタバレから入るんですが、プロローグにきっちりオチが書いてあるのに、結局エピローグまで読んで気づくという、てめえの頭の悪さを再認識させられた作品でございました。
 悔しい!! 悔しいィイッ!!

 魔女の力で生かされても――という台詞が持つ重み。
 そして、数限りない悪意ある魔導書を編んできた魔女ファウラが、息子に残した『遺言書』が、いったいなんであるかという謎。
 紐解いていけば、それは二人の親子の愛の話に帰着するのですが、いやはやその物語の構成がなんとも巧み。
 いっさいの無駄なく物語を収束させるその手腕にはほれぼれとしますね。

 あまりに見事なものだから、あぁ、これ、こういう皮肉なのね、と、もう一度プロローグを見返しましたよ。

 改めて読者に見返させる小説というのは、なかなか書こうと思って書けるものではないと思います。
 素晴らしい。

 で、素晴らしいのは話だけではないんですよ。
 世界観。それこそ、よし、読者アンケートの結果が良好だし、連載行こうか、って編集者に言わせるような抜群の完成度。
 いや、私、編集者じゃないので知りませんけど。
 ただ、少年誌のヒット作の読みきり版くらいの重厚さがある。
 あぁこれ連載しないかな、って、子供ながらに思ったあのワクワク感を確かにこの作品の中から感じる。

 西部劇で魔女を狩るというテーマもさることながら、その動機付け、小道具の魔導書、そして魔女のバリエーションと、どれもこれも読者の興味をそそるものばかり。
 悪趣味な魔導書の描写も抜群。
 この手のダークな演出は私の世代だとハガレンがまさしくそうですが、こりゃ中高生とかキャーキャーいいそうだわ。

 という感じのザ・少年漫画。
 連載するんだったらこいつでいいんじゃないの少年エースさん、と、アンケート代わりにレビューを書いた次第であります。
 オススメです。

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