王道WEB小説の一つであることは間違いない。
- ★ Good!
話数もそこそこあり、文章も読みやすい。特に随所から伺える世界観や設定は、きちんと練られていることがわかる。
目標としているキャラクターたちがイキイキとした小説、という意味ではそう遠くないところを狙えていると思う。
しかし、それでもPVが伸びていないのは、何故だろう。認知度の低さはカクヨムの性質上、仕方ないかもしれない。
けれども、最新話まで読んで私が惜しいな、と感じたこともいくつかあったので、そこをしっかり書いておこうと思う。
まず第一に、物語の構成。
典型的なWEB小説っぽさを感じさせる、平淡な日常パートに絡めた設定紹介は、ふらっと読みに来た読者には少しハードルが高い気がした。あえて言葉を選ばずに言えば、この作品をこのまま読みたいと思わせるパワーに欠けるのだ。
尖った何か、突き抜けた何か、そういう読者を牽引していく要素が、序盤で提示されていないことは個人的にはマイナスだと思う。
いわゆる、なろうテンプレ系の強みであり弱点はここであり、ある程度この序盤の導入部分にパワーがなくても最悪読み飛ばしてフォーマットとして受け入れてしまえる、という要素があると考えている。
ただし、これは読書がなろうテンプレを求めている場合に限る。
読んでいけば、凝った設定や可愛らしいキャラクターの魅力に気付けるのに、と私はこの作品を読んでいて思った。だからこそ、構成を工夫して読者をぐぐっと捕まえてしまうことさえ出来れば、と惜しまざるをえない。
第二に、ときどき現れるシナリオ風の表現。
これは正直、好みの問題かもしれないが、個人的にはセリフの前に名前を置いて誰が喋っているかを表す方法や、擬音単体での表現などは作品を想像以上にライトなものに変えてしまうものだと思っている。
コメディーというよりギャグのジャンルであえて使用するならともかく、こんなにきちんと地の文を書ける人がこんなにきちんと地の文を書いてる作品の中で、わざわざやることではないかな、と思ってしまった。
最後に、これは私にとって自戒でもあるのだが、一話一話の区切りについてもう少し意識を働かせてみても良いだろうな、と思った。
というのは、WEB小説には紙のページの概念がないので、ついずるずるっと書いてしまい後から文章量に応じてページを分けるということをしてしまいがちだからだ。
そうではなく、読書にとっての引きを意識して、ページ割を意識することが大事なのだと思う。ある程度、続きが気になるという余地を残して(余韻を持たせて)一話一話を区切ると、もっと読書を引き込む力が増すのではないか、と感じた。
※なんて、長ったらしくその上偉そうなことをだらだら書いてしまいまして、大変恐縮ではあるのですが(そもそもこれ、レビューではないですね)自分が楽しめた作品が、埋もれてしまうことが最大の不幸なので、あえて書かせていただきました!
気に障るようであれば、こっそり削除していただければと思います!