最強の称号。形骸化した役割。約束された許婚――
豪奢でありながら先行きの見えた、なに不自由のない予定調和に満ちた日常が、たった一人の少女との出会いを機に覆ります。
ソレも爆発力をもって加速度的に! その煽りを最も受けてしまうアイシュちゃんはまさに、我らが読者の代弁者ですね(笑)
感情の落差が目に見えて明らかなので、驚きが起こるたびにいちいち反応してくれて、感情移入がしやすいです。
ありきたりで満ち足りた情景にも、やがて綻びが生じ始めて、
現実味が薄く途方もつかないナニかが、徐々に染み出し侵食していく――
その歪みがいつ決壊を始めるかワクワクしながらページを進めることが出来ました。
そして待望のバトルシーン! ぶっちゃけ開いた瞬間、作者さんの「この時を待ちわびた!」という声を幻聴した気がしました(笑)
それくらいに、伏線回収と新たに開示されるとめどない情報量を含んだ、気合の入った決戦には度肝を抜かれます。同時詠唱カッコよすぎィ!
新しく追いかける方は、
是非とも<彼女>との出会いまでは読み進める事を推奨いたします。
以降は止め処の無い旅となるでしょうから、余剰な時間をもって挑みください。
ではまた。更新お待ちしてます。本日もお疲れ様です!
話数もそこそこあり、文章も読みやすい。特に随所から伺える世界観や設定は、きちんと練られていることがわかる。
目標としているキャラクターたちがイキイキとした小説、という意味ではそう遠くないところを狙えていると思う。
しかし、それでもPVが伸びていないのは、何故だろう。認知度の低さはカクヨムの性質上、仕方ないかもしれない。
けれども、最新話まで読んで私が惜しいな、と感じたこともいくつかあったので、そこをしっかり書いておこうと思う。
まず第一に、物語の構成。
典型的なWEB小説っぽさを感じさせる、平淡な日常パートに絡めた設定紹介は、ふらっと読みに来た読者には少しハードルが高い気がした。あえて言葉を選ばずに言えば、この作品をこのまま読みたいと思わせるパワーに欠けるのだ。
尖った何か、突き抜けた何か、そういう読者を牽引していく要素が、序盤で提示されていないことは個人的にはマイナスだと思う。
いわゆる、なろうテンプレ系の強みであり弱点はここであり、ある程度この序盤の導入部分にパワーがなくても最悪読み飛ばしてフォーマットとして受け入れてしまえる、という要素があると考えている。
ただし、これは読書がなろうテンプレを求めている場合に限る。
読んでいけば、凝った設定や可愛らしいキャラクターの魅力に気付けるのに、と私はこの作品を読んでいて思った。だからこそ、構成を工夫して読者をぐぐっと捕まえてしまうことさえ出来れば、と惜しまざるをえない。
第二に、ときどき現れるシナリオ風の表現。
これは正直、好みの問題かもしれないが、個人的にはセリフの前に名前を置いて誰が喋っているかを表す方法や、擬音単体での表現などは作品を想像以上にライトなものに変えてしまうものだと思っている。
コメディーというよりギャグのジャンルであえて使用するならともかく、こんなにきちんと地の文を書ける人がこんなにきちんと地の文を書いてる作品の中で、わざわざやることではないかな、と思ってしまった。
最後に、これは私にとって自戒でもあるのだが、一話一話の区切りについてもう少し意識を働かせてみても良いだろうな、と思った。
というのは、WEB小説には紙のページの概念がないので、ついずるずるっと書いてしまい後から文章量に応じてページを分けるということをしてしまいがちだからだ。
そうではなく、読書にとっての引きを意識して、ページ割を意識することが大事なのだと思う。ある程度、続きが気になるという余地を残して(余韻を持たせて)一話一話を区切ると、もっと読書を引き込む力が増すのではないか、と感じた。
※なんて、長ったらしくその上偉そうなことをだらだら書いてしまいまして、大変恐縮ではあるのですが(そもそもこれ、レビューではないですね)自分が楽しめた作品が、埋もれてしまうことが最大の不幸なので、あえて書かせていただきました!
気に障るようであれば、こっそり削除していただければと思います!